問題児と天才とは紙一重だ。社会的な活動では何かと眉をひそめられるような行為をする人が、ある特定分野では突出した天才性を発揮するのだ。そうした人たちがあなたの身近に何人かおられるのではないか。いや、あなたご自身がそうかも知れない。
・ひんぱんに遅刻する
・約束をよく忘れる
・机やカバンの中が散乱している
・よく物をなくす、忘れ物をする
・人の話をじっくり聞けない
・じっとしているのが苦手で落ち着きがない
長島茂雄元監督にはこうした逸話が多い。ホームランを打ったのにベースを踏み忘れてアウトになったり、前の走者を追い越したり、自分の子供を球場に忘れてきたり・・・。こうした伝説的な失敗は“普通の人”なら決してしでかすことのないミスだ。だが、長島さんにはものすごく多い。
マガジンハウス発行の雑誌「ポパイ」では、【夢中力】という単語を使ってこうした現象を解説している。「ADHD(注意欠陥多動性障害)」とは、子供だけでなく大人にもある神経生理学的な状態のことを言い、上記のような様々な特徴的な行動がある。
四角四面などうしようもないほど几帳面な人でもない限り、誰しもADHDに近い部分を持ち合わせているはずだ。
私もそうだ。最近、人前では出なくなったが、ものを考えるときにはクマのように動き回るか、ひざを上下させる「何とかゆすり」をするのがクセだ。それを止めると思考も止まる。また、独身時代に借りていたアパートの部屋は足の踏み場がないほどに散乱しているが、いつも目の前のある出来事には思いっきり集中していた。
これなどは、大人のちょっとしたADHD状態なのかも知れない。
遅刻する、約束を忘れる、机やカバンが散乱している、落ち着きがない、などの現象は普通の人事評価でみればマイナス材料である。官僚的な組織では出世できないタイプだろう。だが、歴史に名を残すような人物には、こうしたある種の欠点を抱えた人たちが少なくないのも事実なのだ。アインシュタインもエジソンもベンジャミンフランクリンも坂本竜馬も落ち着きのない人物だったらしい。というより、「夢中力」の高い人だったというべきだろう。
気になる方は、雑誌「ポパイ」4/8号の158ページ以下を参照されたい。キムタクが表紙のポパイで、今の最新号だと思う。
今日の原稿が企業経営にどんな関係があるか。大ありなのだが、一度じっくりお考えいただきたい。