未分類

さあ、100億借りるぞ!

「100億の借金ができる会社になりたい」と愛知県のある社長。

昨夜の講演会に参加してくれた愛知県春日井市の彼はまだ30代。たったひとりで数年前、徒手空拳、産業廃棄物処理の会社を興した。

そんな彼の夢が「100億借金できる会社になること」。
そのわけを聞くと、それだけの信用力をもちたいということと、100億程度の借金ではびくともしない個人的肝っ玉と、返済能力を養うのだという。

会社を作ってまだ数年、すでに3億円を売り上げる会社になったが、初めて1000万円の借金をした時のことが忘れられないという。
なにしろ、サラリーマン時代の年収の二年分の金額だ。万一のことを思うと、心配になってきた。そこで念のために専業種の奥さんに相談してみた。

「おい、会社で1000万円借りるつもりだけど、いいかな?」

すると奥さんは、社長の不安な様子をまったく意に介さず、「どうぞ、どうぞ」と素っ気なく返答してくれた。

彼はその時、「言いようのない安心をもらった」という。

翌年、処理場を拡張するために新たに1000万円借りることにした。
その時も奥さんに確認した。
「おい、もう1000万円借りたい。これで2000万円借りることになるけど、大丈夫かな?」
そのときも、奥さんは「どうぞ、どうぞ」と言った。

社長は更に言った。

「その都度その都度あなたに相談するのも申し訳ないから、ある程度の金額までは、自分の判断で借りてよいかな?」

「幾らまで借りるつもりなの?」と奥さん。
「う~ん、そうだなぁ、100億円」、とっさに出た金額だった。
奥さんは返事する。
「どうぞどうぞ、そのかわり私に迷惑かけないでね」
「わかった」

このやりとりから、「100億円借金できる社長になる」というのが彼の挑戦テーマになった。
「まるで奥さんが与信担当者みたいだね」と私は冷やかしたが、素晴らしい夫婦だと思った。

数字をしっかり押さえて、100億借金しても万全な会社を作っていただきたい。無借金企業になることを夢見る社長が多いが、こうした社長がいるのも悪くない。

さて、「社長と決算書」アンケートに寄せられた意見をご紹介しよう。53人の社長のご意見すべてを紹介したいところだが、紙面の都合で一部にとどめたい。

・新米社長ですので決算書と月次の試算書だけはマメに見るようにしています。よくわからない数字でもずーっと眺めていると何となく分かってくるから不思議ですね。

・試算表は経営判断には用いておりません。試算表から作成した管理会計帳票を用いております。PLが主となりますが、現在は資金繰りに当面の心配がないだけであって、BSとCFについても今後新規事業展開を行っていく上で必要性を痛感しております。

・経理士に相談してせめて締め切り後2週間以内に月次試算表を出して頂き、幹部社員と情報の共有化を図りたいです。
貸借対照表については、まだまだ自信がない。

・創業前に簿記2級を持っており、各科目の単独の意味や全体的な見方については知っていました。そして創業後に経営分析の視点からの見方を簡単な書籍で勉強しました。
ただ、残念ながら、会社がまだ小さいせいなのか?それとも活かし方が分からないのか?ともあれ、分析を具体的に経営に活かすということは到底できていません。

・月次決算表はビジネスプロセス改善の確認に使っている。決算表を改善に使うなら、自社の会計内容を正確に把握することが重要。
しかし、数字の変化に一喜一憂しないことも一方で必要だと感じている。

・数字の意味を知って基準や目標にしたいと思っているのですが、必要な数字しか見れてないのが現状です。決算書の理解度が今の自分と比例している気がします。

・自分なりに決算書を読めるつもりになっているので、これ以上の勉強の意欲はありませんが、果たして、ほんとうに分かっているのかは疑問。何かテストがあれば、はっきりするのでしょうけど、何かありますか?

・月次決算の必要性は今はもう語るまでもなく当たり前の存在です。
月次決算しなければまともな経営などできません。

・試算表を経営判断に活用するのは非常に大事なことだと思います。
ただ、損益計算書だけを見て「試算表を活用している」という経営者がいないかどうか、ちょっと心配です。

・役職が上がるにつれて月次決算書を読む必要性が増しました。ただ損益計算書はよく見るのですが貸借対照表をあまり活用できていません。出た数字をどうやって現場にタイムリーに活かすのかが解からず、ただ見ているだけのような、売上や粗利にばかり気をとられています。もっと数字に強くならなければ経営は無理ですね。

・決算書が読める事は、経営者として最低限のスキルである。が、逆に読めなくても何ら問題はないと思っている。それよりも、問題は自社の数字よりもどれだけお客様と真摯に向き合えるかだと私は考えている。

・読めば読むほど粗が見えてくるのが悲しいですけど、社内改善を推進する原動力になりますね。でもまだ科目の関連性を勉強する必要性を、嫌と言うほど感じています。学習学習。

・決算書・試算表は会社体力の診断書だと思っているし、また今後の会社の方向性を決める羅針盤的な物でもあるので、出来る限り正確な物を作りたいと考えているし、スピードも要求されると思う。
もちろん顧問税理士にはその考えを伝え、セカンドオピニオンの税理士もお願いしてある。

・アンケートを使ったメルマガ展開なんて初めてみました。成り行きに注目してます。

・毎年、期の前半は利益確保を優先しますが、後半はなるべく来期のために使うようにしています。それでも予想以上に推移した場合は、決算賞与として従業員に還元しています。

・技術屋出身の私は、決算書・試算表の類は全て独学で学びました。
始めは[P/L]の数値の変化が[B/S]のどこに対応しているのかも分からず、えらく悩んだものです。今は会計ソフトが充実しているので理解しやすいと思います。
管理職者とは[P/L]に基づいて問題点を捉え、経営陣は[B/S]を主体として検討しています。数値が理解できると楽しい(業績が良ければの話ですが)ものですネ。

・小規模な会社ですので、十年前から、締日に試算表を作成しています。請求書を発行した後取り掛かりますが、毎日こまめに数字を記入していますので、習慣になれば簡単です。

・PC会計ソフトを導入しています。しかし、・・・その試算表の生かし方がわかりません。やっぱり基礎が大事ですね。

・PLは入りやすい。BSにもっと強く、CFSにはもっと強くならなければ!決算書が読めないことを知った時、よく今までやってこれたと愕然としました。運のみ、親頼み、神頼み、お客様頼りでした。財務の本と仲間から学んで10年、どこから突付かれてもすっきりした決算書になりました。このバランスを崩す時が挑戦の時ですね。武沢さんのメルマガにいつも感謝して拝読しております。

・月次決算を公開しだしたのは、つい2ヶ月前からです。エクセルファイルに簡単にまとめて、全員にメールで送っております。
今日は、会社の月次の会議で全員が集まります。幹部3名から今年度の決算分析を発表してもらいます。

興味深い数々のコメント、ありがとうございました。
最後に、数字の興味と理解がいまひとつ足りないとお感じの方におすすめの本はこれです。
俄然、興味がわいてくることでしょう→ http://rieki-up.jp/