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夢をかなえたO社長

シミだらけの壁に囲まれたマンションの一室で、二人しかいない社員に向かって社長のOはこう語った。

「今にBGM流れる広くてびっくりするくらい綺麗なオフィスに引っ越しするから。社員も何十人とか雇って、玄関なんか石貼りで・・・。」

だが目の前にいる社員は、

「社長、そんなことより早くコピー機を買ってくださいよ」

あれから10年たった今、O社長の会社は総勢80名の社員を抱え、写真スタジオや録音スタジオまでついた広くてきれいなオフィスで日本中の企業を相手にビジネスを展開し、さらに大きな夢に向かって成長している。

O社長の会社が短期間にここまで成長できた真の理由は私にも分からない。だが昨年末、O社長にお目にかかり、お話を聞いた時、同社のユニークなマーケティング力に成長の秘訣があるように思えた。

まず、自社の強みを「日本一の会社案内制作実績」に求め、この27年間で3,000社超の制作実績を作ってきた。

会社案内日本一という実績を武器に企業と一点突破の取引を開始し、その後、各種印刷物の制作やWEB、動画などの制作請負からマーケティング支援にいたるまで幅広くサポートできる会社に成長してきた。

最初の突破口は「会社案内」。

●会社案内とはそもそも何ものなのか?
O社長はそこを突き詰めて考えてみた。

・・・
会社案内は営業マンの代わりをしてくれる最強の営業ツールでなければならない。そのようにすれば、いかなる会社も会社案内に予算を割いてくれる。
・・・
とO社長は考えた。

O社長の会社では、企業名鑑をもとにDMを送付する。

DMは単発でなく、15回連続(毎月一回)のシリーズものだ。ただし、DMの目的はただひとつ、サイトへのアクセスを促すことにある。
DMに複数の目的を持たせてはならないと考えているようだ。

サイトでも同じだ。
DMから誘導したサイトも目的はただ一つ、「資料請求」させることにある。
資料請求とは、O社長の会社の会社案内を取り寄せることである。

営業用に作られた会社案内も、目的はただ一つ。「クロージング」にある。つまり注文させるのだ。
会社案内に同封された依頼書に必要事項を記入してFAXさせるように作られている。

ごく例外的に、「営業マンの説明希望」という欄にチェックが入って返ってくる場合がある。そのときは、営業マンが商談に出向く。
その場合でも成約率は8割強にのぼるというからすごい。

見込客発見からアプローチ、アポイントメント、商談、クロージング、成約、納品、フォローという一連の流れをマンパワーだけに頼っていたときは大きくなれなかったO社長。

だが、営業の流れを営業マンパワーに依存しないシステムを作ってからは、O社長が語る夢は、ホラや大風呂敷ではなくなったのだ。

そして、今、O社長が語る夢に対して、「社長、そんなことより、まず・・・」と言い返す社員は一人もいないことだろう。