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任せる能力、育てる能力

トヨタ・クラブW杯サッカーは、カカの大活躍でACミランが優勝した。
日頃、欧州サッカーを見ない私は、昨年のドイツW杯の時のカカよりもスピード、パワー、テクニックともにグーンと成長しているのに驚いた。伸び盛りの若者の成長は恐るべし。

ところで、社長の伸び盛りはいつ頃だろうか。
本人の年令もひとつの要素だと思うが、社長着任年数が若いほど伸びやすいし、新しいことに挑むことが多い社長ほど伸びる。

ということは、後継者にバトンタッチするタイミングは、後継人材の伸び盛りの年令にも配慮してあげる必要がある。

「自分はいつ身を引けば良いのだろうか?」という相談を受けることがあるが、後継人材が40才位が一番良いと私はお答えすることが多い。
それプラスマイナス5才まではOKだろう。業界によってはもう5年早くても構わない。

身を引くタイミングを前もって年令で決めておこう。
社長の意欲や体力が低下してからバトンタッチしようとすると、うまくいかない。
ある時など、85才の社長と60才の専務(息子)が揃って講演に来られていたこともあるが、ズルズルと20年は余分に引っ張ってしまったと私は感じた。

思い切って任せるということには、任せる側に訓練が必要なのだ。

日頃から社員や息子に仕事を任せるときは、任せた以上、口を挟まずに結果だけを見守る度量を養っておこう。

「君が環境美化委員長だ!」と一度任命したら、少なくとも一年間は彼に良い仕事をさせて自信をつけさせるまでフォローしなければならない。フォローしてやらないと、「私は何をすればよいのだろう」と迷いながら、成果を出すこともなく任期が終了してしまう。すると自信をなくすことだってある。
ひどい場合は、彼に委員長を任せたことすら忘れてしまう社長だっている。

そういう任せ下手な社長は、いざ後継人事というときになっても任せ下手の癖が出てしまい、任せられないのだ。

特に、ある程度以上に実績があった社長ほど要注意。自分ほどの経営力をもった部下は社内に一人もいないと思っていることが多い。
たしかに同じことができる部下は一人もいないかもしれないが、違う方法で成果を上げる部下はきっと何人もいる。

優秀な人材の下に人材が埋もれていることが多いのだ。
それに気づかぬのは上がいるから。往々にして我が子がいつまでも未熟に見えるように、未熟な頃の部下・息子を知っているだけに眼鏡が曇る。

社長がいつも社内にいる会社は、必ず専務以下が育たないもの。
彼らが社長に依存してしまうのか、上がいるから力が発揮できないということも多いのだ。

任せてよいかどうか迷ったら、まず社長は、一ヶ月間外国旅行してみよう。
連絡を取るのは一日一回のメールだけ。それ以外は連絡を我慢する。
それで会社がどうなるのかテストしてみればよい。できる後継者は、必ずこの一ヶ月でたくましく成長する。

管理職の究極の仕事、それは今の仕事を卒業することだ。