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ある会社の社長塾

社員教育だからといって、教育する側が身構えてしまっては結局何もできなくなる。気軽にスタートすることが肝心なのだ。

茶話会や懇談会のつもりで勉強会を定期開催しよう。
いつからやろう?どうやってやろう?テキストをどうしよう?誰が教えよう?レポートは出させるのか?時間外手当はどうするのだ?

などなど、勉強会を始める前の段階であれこれ考えすぎないこと。
まず決めて、明日から実行するのだ。実行しながら修正していけばよい。

ほぼ毎朝「早朝勉強会」を開催している株式会社武蔵野さんの事例を参考にして、名古屋のある会社では、毎週三回(月・水・金)午前8時から50分間を「早朝社長塾」に充てている。

この会社では自由参加にしているので、時間外手当は発生しない。ただし、参加者にはラジオ体操のスタンプのように社長印がスタンプされ、それが50個貯まると3万円のamazon商品券がもらえるらしい。

今夏の経営計画発表会では数人の社員が商品券を受け取り、iPodを買ったりDVD映画パックを買ったりする社員が誕生して機運が向上しているという。

「早朝は出られないが帰宅前なら一時間くらい勉強したい」という社員の声に対応して、「DVD社長塾」もスタートした。
早朝社長塾の光景を録画したものを担当者がDVDに焼いておく。それを終業後に放映するというのだ。こちらはスタンプ50個で2万円の商品券だ。

私もある日の「DVD社長塾」を見学した。受講者は二人だけだったが、社長のセリフにテロップが入ったりして編集が上手いせいか、飽きることなく30分程度の放映に聞き入っていた。

「社長塾」のメインテキストは経営計画書。読み合わせをして解説を加える。そして、大切なことは脱線すること。

この脱線が大切で、創業時の苦労話や先輩社員の失敗談などを話す。
成功談や美談よりも失敗談を実名で話すほうが社員は真剣に聞くし、居眠りする社員がいなくなる。

人の失敗は聞いていて無条件で楽しい。

「なんだ、偉そうな部長も10年前は失敗だらけじゃないか」と安心したり、「そんな大変な苦労があったからこそ、今の我社があるのですね」と感心されたりする。
どちらにしても実際にあった話を聞かせてあげるほうが、はるかに社員にとっては自社に対する愛着や愛情が育まれるようだ。

有名企業の例を熱心に語ったところで社員には無関係なのだ。

社長が出張などで不在になるときは、総務担当者が勉強会を取り仕切る。
その場合でも、社長は勉強会用にわざわざビデオカメラでスピーチを残していく。

「カメラマンがいると緊張する」というので、ミニ三脚とリモコンで社長一人でカメラ操作しメッセージを録画するのだ。

この会社は始業が午前9時なので、勉強会はきっちり8時50分には終了する。
最後の10分間はレポート作成と感想発表の時間に充て、作文力と発表力を鍛えているという。

こんな感じで肩の力を抜いて、勉強会をまず定期開催することが大切だろう。