ある街での講演会のあと、懇親会で一人の白髪まじりの紳士が近づいてきて私にこう言った。
「武沢さんはメルマガやブログで活躍されていますが、私は住宅業界だけを生きてきたサラリーマンです。本当は住宅関係のプロのブロガーになりたいと思っているのですが、自分の経験や知識だけでは狭くて、他人様に認めてもらえるようなものは書けそうもない」と。
彼はどうみてもまだ60才手前。前途洋々たるビジネスマンなのに、「出来そうもない」なんて消極的過ぎるだろう。
ひょっとして、他人の凄いブログやメルマガを見て、気後れしておられるのか?
だったら、それは不要だ。そうしたすごいブロガーだって、最初は見よう見まねのヨチヨチ歩きだったのだから。
ところで、一生涯の持ち時間は約70万時間ある。
その計算根拠は平均寿命が80年として、365日×24時間×80年=70万800時間というわけだ。
その中から仕事に割ける時間は、わずか10万時間。総持ち時間の7分の一でしかない。
たとえば、上場企業のサラリーマンだったら、年間労働時間数2,200時間×定年までの40年間勤務として8.8万時間となる。中小企業で働く社員だったらもう少し多いが、それでも年間3,000時間労働×40年勤務で12万時間。どちらにしたって、8.8万~12万という範囲内でしか仕事をしていないのだ。
この10万時間という時間数は、あまりに大きい単位なのでピンと来ないだろう。だから、仮に一日24時間のすべてを仕事に回せるとしたら、80年の生涯で12年間しか働かないという計算になる。
以下、私たちは人生80年を次のように使っていることになる。
睡眠・・・・25年
仕事・・・・12年
学校・・・・ 3年
その他・・・40年(休日、生活、家族や友人との時間、自由時間)
こうしてみても、意外に仕事時間は短い。学校で勉強する時間と仕事する時間を合計しても15年間に過ぎない。
だがこの15年間の過ごし方で、他の人生時間の大部分に大きな影響を及ぼしていくのだから、大切に使いたいものだ。
だが、この計算、ひとつトリックがある。
それは、60才で引退するという前提にたっているのだ。
終生現役をめざす中高年の皆さんに、残り時間はまだまだたっぷりあるぞ、というお話をしたい。
例として、私の場合、今年53才になった。仮に80才までバリバリと働くとすると、人生の残り時間が27年となり次のような計算ができる。
人生の残り総時間は、236,520時間(27年×365×24時間)
睡眠時間は、68,985時間(27年×365×7時間)
仕事時間は、67,500時間(10時間×250日×27年)
休日は、52,785時間(115日×17時間×27年)
他の生活時間・自由時間(47,250時間)
この計算結果を簡単に要約すれば、睡眠7時間、仕事7時間、他の自由時間10時間(合計24時間)という一日を27年間繰り返すことになる。
まだまだ結構仕事ができる。もちろん、仕事せずに趣味やライフワークに打ち込んでもよい。
60才で引退なのではなく、終生現役でいくと決めたらまだまだ使える時間はたっぷりあるのだ。
子育てが終わり、家族サービスもほぼ終わった中高年にとっては、睡眠時間以外の全時間が自分のものだ。
子どもや家族サービス、親戚や地域活動などの社会的雑事に割かれてきた時間の多くが、これからは自分のためだけに使えるという新事実に気づいていほしい。
残された人生時間のマネジメントを上手にやれば、今からライフワークのひとつやふたつものに出来る。
ヘッセが言うような「人は成熟するにつれて若くなる」という人生を送るのも自由。
他人の手助けを受けながら老醜をさらすのも自由。選ぶのはあなただ。
若いときと違って金も時間も経験もある。
ある意味、中高年こそ人生でもっとも自由度が高い黄金の世代だと私は思う。
そんな黄金期を大切に過ごすために、中高年こそ今から人生計画と人生ビジョンを作る必要があると思うのだ。
もちろん、冒頭の白髪紳士にもそのようなお話をした。彼は、今、すでに毎日欠かさず1エントリーされるブロガーだ。これを一年続けたら、間違いなく人気ブロガーになられるだろう。
やるべきこと、やれることはまだまだ多い。