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他信は才能

経営者は自信をもっていなければならない。その点においては、多くの経営者が「無問題」。つまり、自信がない社長にはあまりお目にかかったことがないのだ。

むしろ、過信気味におもえるほどの自信家が多いように思う。
いずれにしても自分を信じる力、つまり「自信」は大切な経営力の一つだ。

自信が大切であると同時に、他人を信じる力も大切である。

部下やお客や取引先などの「他人」を信じることができる能力、私はそれを「自信」に対して「他信」という表現を使っている。

そういえば、数々の国務大臣に「他信」の力がなく、部下である官僚を敵に回したおかげで大した仕事もできずに更迭されていった政治家を何人も思い出す。

それは、「自信」はあっても「他信」の才能が備わっていなかった典
型的なケースだろう。

部下を信用できる、部下の能力や才能を信用できる、部下の目標達成を信用できるようになろう。

・うちには良い社員が集まってくれている
・社員は、毎日最善の努力をしてくれている
・社員は能力をフルに発揮してくれて、わが社の目標達成に貢献してくれる
・社員は、突然「辞めます」などと言わず、もし迷うようなことがあれば、早めに相談してくれる
・社員は、仕事のストレスを一人で抱え込まず、率直に上司や社長と話し合ってくれる

と言い切れるようになりたいものだ。

それは社員にとってみても同じことで、自分を信じるのと同じように社長のことを信じられるかどうかだ。

・社長は私のことを大切にしてくれている
・社長は自分たちを正しい方向にリードしてくれている
・自分は社長に評価されているし、ずっとこの会社で活躍することを期待されてもいる

根拠もなく、ただ「信ぜよ」と言われても無理があるので、「他信」できるようになるためのネタ作りが必要だ。

「時と場合によって信じたり信じられなかったりする」とか、「時々信じられなくなる」というような信頼関係では、「信じていない」のと同じなのだ。

信じるとは、これっぽっちの疑いもない相手を信頼できることである。

相手は期待通りの行動をする。信じられていたらその期待に応えるし、疑われていたらそのようにする。

「信じるとは、まず、対象を知ることから始まる」のだ。

部下を信じるためには、もっと部下のことを知ろう。自分のことを知ってもらおうとする前に、もっと相手のことを知る努力をしよう。

そこで、社員と定期的な話し合いが必要になる。

社長と社員、ふたりっきりの話し合いだ。人事制度においては、それを「個別面談」とか、「目標面接制度」などとよぶが、制度だからやるのではない。人事上の意図があって行うものではなく、社長も社員もお互いが相手のことを理解しあう上で必要だからやるのだ。

あくまで一例だが、社長と社員の面接のやり方。

・頻度は毎月一回(少なくとも二ヶ月に一回)
・一回あたり30分程度で充分で、長すぎると冗長な会話になる。
・広すぎず狭すぎず、という個室が良い。
・社長は8割聞く、2割話す程度のバランスで。
・質問項目はあらかじめ用意しない。相手の話の流れにひたすら合わせていく。ただし、一貫して真剣に聞く。話題をさえぎったり、急に話題を変えたりしない。
・時々メモする程度はOKだが、面接カードみたいなものをテーブルに出しておかない。
・社員が退席してから、忘れないうちにカルテにメモっておく。そうすると、次回のミーティングはそのメモが生きる。

さっそく今日からでも、やってみてはいかが。

こうした定期的コミュニケーションを通して、社長も社員もお互いに相手を信用している関係が「他信」であり、「他信」の企業文化が人を育て、組織を強くしていく。

部下を信じる社長になろう!
社長を信じる社員にしよう!