江戸時代初期、暴れん坊だった武蔵(たけぞう)青年が、沢庵和尚の計らいで三年間、姫路城内の一室に閉じこめられた。
その三年間、狭い一室で来る日も来る日も読書にいそしみ、禅や書の修行を積み、許されて城外へ出るとき、名を宮本武蔵(みやもとむさし)と改名した。剣豪・武蔵、誕生の瞬間だ。
私はこの、吉川英治原作の「宮本武蔵」を高校生のころ、むさぼるように読んだ。
生まれて初めて読む時代小説。特に三年間の幽閉生活で完全に大人に生まれ変わってしまった武蔵(たけぞう)の変身ぶりに驚いた記憶がある。
「いやぁ、人間ってこんなにも変われるものなんだ」という驚き、それに近いオドロキを先週水曜日に感じてきた。
いや、武蔵の場合は三年での変身だが、こちらは、たった三ヶ月での大変身なので、もっとビックリだ。
中小企業に新しい採用のカタチを提案する「偉材塾」。
「偉材塾」では、25才以前のフリーターやニートを選抜採用し、徹底的に教育し、企業で即使える人材に仕立て上げ、派遣・紹介を行ってきている。
メルマガ広告のご縁で興味をもった私は、会社見学も兼ねて「偉材塾」を主催運営する株式会社コミュニケーション・デザインを訪問し、お話をうかがってきたのだ。
同社の苗木邦王(なえき くにおう)代表のお話しに共感する部分が多かったわけだが、まず次のような内容の話をされた。
(文責:武沢)
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今の若者の一般的な常識と、企業や組織で必要とされる常識との間に大きなズレがあります。どんどんそのズレが大きくなってきています。
挨拶をきちんとする、ウソは言わない、時間は必ず守る、など、組織や社会をキチンと支えることができる人が仕事がデキル人なのであって、ただ技術があるだけでは通用しないのです。そのあたりを勘違いしている若者がものすごく多い。
また、負け癖(ものごとを達成しない癖)がある人は、それも払拭しておかないと、会社の中に負け癖を持ち込まれては伝染するので困るのです。
当社では、若いニートやフリーターを募集・選抜し、研修期間中に徹底的に人間教育を行います。要するにしつけです。
一分でも遅刻したらクビですし、卒業検定に合格しないと企業への派遣を行いません。つまり、落第になるのです。
パソコンやメールといった基本からプログラミングの技術も教え込みます。朝から晩まで、そうした訓練を行ってきた若者は、三月もしたらビックリするくらい変身します。
そうして合格した人材だけが「偉材塾」塾生として、企業さんに派遣できる人材になるのです。
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研修生たちは、三ヶ月にわたって月曜日から土曜日まで、毎日午前9時から午後6時まで研修を受ける。しかも定刻の30分から一時間前には、すでに集まって自習している。
夜も課題学習のために居残って自習する人が大半だ。
彼らの様子をみると、歩き方、姿勢、お辞儀、表情など、どこをどうみてもニートやフリーターだったという香りがしないピカピカぶりだ。
三ヶ月間の研修期間を終えて卒業検定に合格した者だけが「偉材塾生」として登録され、企業への出向(派遣)が始まる。
出向費用は一人35万円と、企業にとってはお値打ちだ。なじまなければチェンジ可能なのは派遣会社と同じだが、一般の派遣会社と違って最長は一年まで。それ以上働いてほしい場合は、転籍(正式採用)となる。その時に年収の30%が転籍費用として発生する。
「偉材塾」を利用している企業は従業員一名の個人会社から一部上場企業まで幅広い。
新卒採用でもなければ中途採用でもない。派遣紹介のカタチはとりながらも、中味は全然違う。まさしく「新しい採用のカタチ」が偉材塾だろう。
帰り際に、実際の偉材塾生4名(女性1名)を室内に招き、自己紹介と質疑応答をさせていただいた。
そのハキハキとした応答態度や笑顔、誠心誠意さなど、思わず「うちで働いてみる気はありませんか」と尋ねたくなるほどだった。
宮本武蔵の大変身以上の変貌をとげる「偉材塾」塾生、中小企業にとってもコストパフォーマンスの高い採用形式だと思うので、要チェックだろう。
「偉材塾」の(株)コミュニケーション・デザイン http://www.cdc.co.jp/