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クーデター計画

「みなさん、今日の経営講座おつかれさまでした。正直言って、こんなにまじまじと自社の決算書を見たのは初めての私ですが、みなさんはいかがだったでしょうか。これから始まる忘年会では、数字のことなどきれいさっぱり忘れて、思いっきり飲み、そして語り合いましょう。グラスをご用意ください。ではカンパーイ!」

「カンパーイ!」

昨夜の某所、忘年会における乾杯発声だ。

経営講座の第三回・数字編を行ったあとだけに、乾杯発声者の頭の中は数字のことで一杯だったのだろう。
私は笑いながら傍らから、「数字のことをきれいさっぱり忘れては困るよ」と講師としての注文を付けた。

数字は苦手という意識を払拭してもらいたい。むしろ、財務データを酒の肴にしながら語り合えるような経営者仲間を増やしたいとすら思っている。数字は雄弁に経営を語るのだ。

それはさておき、
経営理念を確立し、それを具体化するための方針や目標、計画を成文化することは経営者としてとても大切な仕事だ。
できれば毎年、決算期にあわせて方針書をとりまとめ、社内外にそれを発表・発信してほしい。

できるものなら、
自分と自社に挑戦状を叩きつけるくらいの覚悟をもった方針書を作ってほしい。寝ても覚めても方針書の中味のことで頭がいっぱいになるようにしてほしい。
イメージとしては、「クーデター計画」だ。

・昨日までの自社に謀反を起こす。
・昨日までの業界に謀反を起こす。
・昨日までの自分に謀反を起こす。

そうした過激な計画内容にしようではないか。総花的で美しく仕上がった無難な計画に価値はない。

「クーデター計画」を作るには、少なく見積もっても50時間程度の個人作業時間が必要になるはずだ。
私が担当する社長講座の中では20時間程度しか確保できないので、残りの30時間は経営者が宿題として一人作業を行ってくる必要がある。

経営者の方にお願いしている作業は次の通り。

1.「がんばれ社長!」経営チェックシート
自社の経営力分析と課題発見を行う

2.「Wish List」と四半期マニフェストの作成
良い会社、良い経営者になるための課題、問題、願望などを最低200項目書き出す。書き尽くすことが一番大切。その中から大切なものだけに焦点を絞るための「四半期マニフェスト」を仕上げる

3.経営理念の成文化
中小企業の場合、いかに経営者の思いが込められた個性的かつ力ある理念を作ることができるかどうかがその後の方針書の完成度や納得度を大きく左右する。とても大切なステップだ。

4.経営方針を明らかにする
理念を具体化するための中期課題を明らかにする。これによって、理念的なビジネスモデル、理念的な内部管理、理念的な業績指標などを見つけていく。
自社の強みと弱み、可能性と危険性などを総合的に把握した上で、「偉大ゾーン」や「オンリーワン」を戦略テーマにする。

5.戦略5ヶ年計画
試算表の見方を理解し、損益と貸借から数字目標を設定する。安全性、収益性、成長性、効率性の中から毎月定点観測すべき数字を決め、目標値を決める。

6.マーケティング方針を決める
「顧客創造」を忘れた企業に明日はない。日常的に「顧客創造」するための秘策を学び、他社事例もヒントにしながら顧客創造計画を作る。

7.マネジメント方針を決める
目標や計画のフォロー・チェックの仕組み、人の採用と定着、育成、処遇に関する仕組み、社内コミュニケーションの仕組みなど、管理方針を決める。

8.社長の自己改造計画を決める
社長の自己管理・時間管理、健康管理やフィジカル維持、自己教育と生活習慣の改善計画などを定める

9.一枚のマンダラ図に仕上げる
3×3のマスの中央に理念を置き、周囲の8マスに上記の項目をかき込んで一枚ものの方針書に仕上げる。

10.一枚のマンダラ図を配布して方針発表を行う。
自社の方針を3分間で語り切る練習をしてくる。最低30回の練習が必要。そうすれば、誰だってインパクトある方針発表ができるようになる。
長々と語れば語るほど効果は薄らぐ。大切なことは短く、多頻度語ることである。

<明日に続く>