会社経営というものは、実にシンプルな原則で動いている。
会社経営がうまくいっている会社は、社長が経営している会社であり、会社経営がうまくいっていない会社では、社長が経営していない会社だ。たったそれだけのことである。
「おかしいな最近。どうも受注の調子が悪いから営業にハッパをかけよう。それと最近、経費の使い方が甘くなってきたので、もう一度引き締めよう」
というのが経営だと思っているが、それは専務以下が行う経営管理のことである。社長は社長らしい問いかけを自らと組織に発しなければならない。
「経営」という言葉の定義はいろいろあるが、「事業の運営」と考えよう。
事業の運営とは、「今の手持ち資源の中で、今の事業を、今のやり方で続けることが最善であるか否かを点検し、必要に応じて軌道修正をくり返すこと」である。
手持ち資源を使って最高の結果を出すのが社長の手腕の見せどころである。
会社経営とは「環境適応業」とも「環境創造業」ともいわれる。経営をとりまく内外の環境は刻一刻、ハイスピードで変化している。
昨日までのベストセラーが今日は見向きもされない陳腐な商品になる時代だ。
昨日までは最高の売り方だったその手法が、今日は時代遅れになっている可能性がある。
経営者特有の皮膚感覚や嗅覚などにプラスして、コクピットを頼りに飛行するパイロットのようにデータを大切にしよう。
そして絶えず今いる地点が好ましいのか、好ましくないのかを判定しよう。過敏なまでに素早く数字の変化に対応するのだ。
鈍感よりも過敏なくらいがちょうどよい。
「経営会議」で定期的に問われなければならない質問がある。
・今の事業は次の四半期も続けてよいか(それはなぜか)
・このマーケティングは最も適切か(それはなぜか)
・大切なことに集中するために止めなければならない活動はなにか
(それはなぜか)
・今の事業運営は経営理念の実践と成就にリンクしているか