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人材のイメージ

「武沢さん、ちょっと聞いてくださいよ」とM社長。

「何かあったのですか」と尋ねると、今年の春に入社した新卒学生がまったく戦力になっていないらしい。要するに期待はずれだった。

たしか1年前の今ごろM社長は、「我が社を一気に変えてしまうかもしれないエース級の学生が3人も入ることになった」と喜んでいたのに。

M社長が語る期待はずれの理由は、「頼まれたことはきちんとやるが、頼まれた成果はあっさりと忘れる」ということらしい。

即戦力営業マンとして相当の実績を期待していたにもかかわらず、資料作りや営業ツール作りの面ではテキパキと仕事をこなすが、受注はいまだにゼロが続いているというのだ。

頼まれた作業はやってくれるが、頼まれた成果は出してくれない。
たかが半年で性急に結果を求めすぎてはならないが、未達成でも平気でいることを許してはならない。

M社長の会社に限らず、優秀な人材がノドから手が出るほど欲しいのに、社内にそうした人材がほとんどいない、という会社が多い。そんな会社の社長に会って質問してみると、その理由の大半が社長自身の側に問題がある場合が多い。

「社長が考える優秀な人材って、どのような人材なのですか?」と聞いてみればよい。多くの場合、AタイプかBタイプに分かれる。

Aタイプの社長は、”無いものねだりタイプ”
Bタイプの社長は、”場当たり的な人物鑑定タイプ”

なのだ。

Aタイプの社長はこう言う。
「営業力があって、技術もわかり、社内からも人望が厚い人がほしい」

社長にもできないようなスーパーマン的才能を新人に期待してしまうと、当然そんな人には滅多に出会えない。
「要求水準を下げろ」とは言わないまでも、二~三人の新人でそれらの条件を満たすことを考えればよいと助言するようにしている。

しかも、もっと具体的に人材像を定義するよう提案したい。

例えばこうだ。

・ほしい人材1・・営業力のある人

年令 30才~40才の男性
建設または不動産業界の経験が5年以上あり、パソコン使用歴も5年以上ある。適性検査では○○○タイプで、55点以上。
健康で、過去一年間に交通事故歴ゼロ。酒ぐせ良し。できれば妻帯者。
入社三ヶ月目からは、月間受注金額が300万円以上、粗利益で1200万/年を期待できる人。年収は、○○万~○○万を想定

・ほしい人材2・・WEBマスターをまかせられる人

年令 25才~35才の女性
個人または前職でサイト構築の経験あり。文章力があり、個人ブログ(またはメルマガ)の経験者。
キーボード入力は毎分○○文字以上で、根っからのネット大好き人間。適性検査では○○○タイプで、60点以上。
社内の各部署から情報を集めてこれる社交的なキャラが望ましい。
SEO対策ができて、外部のサイト構築支援企業とも円滑にコミュニケーションがとれる人。

・ほしい人材3・・中国で市場開拓と協力企業開拓ができる営業マン

年令 30~50才の男性
中国語が話せ、書ける日本人または中国人。自己管理ができて、誠実に裏表なく仕事する人。報告・連絡・相談がマメで、毎日業務報告メールをくれる人。
連日の宴席や酒席でも平気でいられる頑強な胃袋と体力の持ち主。
妻帯者であれば、中国への単身赴任が可能な家庭。

このように、期待する人材を具体的に書いてゆくと、それに近い人に出合ったとき、すぐにそれとわかる。
もしこの条件と違っていたとしても、それが許容できるのであれば、このリストに固執する必要もない。大切なことは、まず書いてあることなのだ。書くことによってイメージが固まり、出会いの確立が高まるものだ。

<明日につづく>