愛知中小企業家同友会「経営指針講座」。昨日は2006春講座の最終回ということで、各自が作り上げた方針書の相互発表会を行った。
5月開講時には30名ジャストでスタートしたこの会も、見事修了にこぎつけたのは25名。5名の脱落者がでたのは残念だが、彼らもきっとリベンジしてくれることだろう。
方針発表に与えられた時間はわずか3分。万感の思いで作りあげた方針書をたった3分で語れというのは酷かもしれないが、それもやむなし。
互いに作り上げた方針書(一枚もの)を配布しあい、前に出て語る。
ほとんどの人は、今日に備えて充分な準備とリハーサルを重ねてきたのがよくわかる。
そんな中で、出色の存在だったのが三人の女性社長たち。
愛知県瀬戸市の藤井裕子社長(鉱山経営)、豊橋市の原田愛子社長(人材派遣)、一宮市の小山千里社長(鋳造業)の三人である。
この方々の共通点は皆さんご主人が急逝され、予期せぬかたちで今の会社を任された点にある。
愛する人を亡くした失意に沈む間もなく、右も左もわからない状態で引き継いだ今の会社。「せめて主人が存命中にもっと勉強しておくべきだった」と後悔しても始まらない。それこそ必死の思いで格闘する毎日だった。
今でも「主人から引き継いだこの仕事を続けていってよいのだろうか?」と悩む時があるという。
だがそんな個人的感情とは別に、会社は毎日休みなく運営されていく。
立ち止まっているヒマはなく、前へ進むしかない。降板したいと思うときがあるが、それも許されない。
そんな時、彼女たちには経営に関する知識が必要だった。そんな時、勇気が必要だった。そんな時、仲間が必要だった。
自分の話や悩みも聞いてくれ、励ましたり教えてくれたりする仲間や先輩、専門家が必要だった。それが中小企業家同友会だった。そして「経営指針講座」だった。
愛する伴侶を失った寂しさは癒えないが、孤独さは消えた。そして、会社経営を一から勉強しようと決意し、「経営指針講座」で熱心に学んだ。
そんな藤井社長(鉱山)が作った方針は、フラワービジネスへの参入だ。すでに閉山が決まっている鉱山跡地の有効利用を計りつつ、花の無店舗販売方法を構築することを決めた。
原田社長の人材派遣に対する考え方はこうだ。
仕事をしたいという希望がありながらも仕事に就けない中高年が多い。
そこで最近は積極的に50才以上の雇用を増やすことに注力しており、質の高い中高年を企業に売り込むことで独自色を打ち出そうという考えだ。さらに将来は家事代行事業をはじめとした総合人材サービス業にまで会社を発展させてゆこうという構想も作った。
小山社長(鋳造)は、アルミ合金鋳造の分野で高技術、独自技術を誇る企業になることを方針とした。そのためには、社員も一緒になって足並み揃えた勉強と改革が必要となる。
「6アップ作戦」・・意欲アップ、技術アップ、利益アップ、社会貢献度アップ、信用度アップ、満足度アップを掲げ、社長ブログも始めるという。
「主人から引き継いだこの事業をやっていて良いのか?」という迷いは完全には払拭できていないというが、当初の不安はすでになく、ただ武者震いあるのみか。
がんばれ女性社長!