相手のオーラを見た瞬間、「あっ、今日は負ける」と思った。
数年前の高校野球東海地区秋季大会でのこと。私が応援する岐阜県代表の学校と戦うのは愛知代表の愛工大名電。
体の大きさからして愛工大名電に分があるのだが、私が「負ける」と思った理由はそれだけではない。
キャッチボールの正確さ、投げる玉のスピード、ノックの打球の早さや守備の軽快さなど、すべてにおいて相手が上回っているのがスタンドから観ていてもはっきり分かるほどだ。
「今日は負けるぞ」と思ったのは私だけではなかった。
岐阜県代表のこの高校生たちも息を飲むようにして愛工大名電の練習をみている。戦う前から相手のオーラに飲み込まれてしまったのだろうか、コールドゲームで岐阜代表が敗れ、春の選抜出場への道は断たれた。
試合が始まる前からある程度の優勝劣敗は決まっているのかもしれない。
イラクのサマーワへの復興支援群長を務めた番匠幸一郎・陸将補の言葉が月刊『致知』2006年1月号で紹介されていた。
「強い軍隊と弱い軍隊は一目で分かります。『弱そうだ』と思われたらそれまでです。そしてそれは服装の着こなし、目つき、武器の手入れ、清掃など些細なところに表れます」
軍隊の強さとは、武器の性能や隊員の志気の高低だけでは測れないものがある。
日本の復興支援群が無事にイラクから帰還できたのは、幸運だけによるものではないはず。相手につけいるスキを与えないオーラが日本の自衛隊には備わっていたからだと推測できる。
会社の強さも同様で、その会社の製品や財務、サイトなどを分析しなくてもすぐにわかる。オフィスを訪問し、応接セットで10分も座っていれば、強い会社か弱い会社か一目瞭然なのだ。それは社員の活気、清掃レベル、何気ない会話などから判明する。
あなたも積極的に他社を訪問してみよう。
余談ながら、今は株式投資をしていないが、かつて熱中していたときがある。そのころには、投資候補企業の本社を訪問し、IR部や総務部をおじゃましたことが何度かある。
そこで伺った話の内容はそれほど意味がない。なぜならすでに公開されている情報を確認するだけだから。
だが、社内の雰囲気からキャッチできる情報は計り知れないものがある。「うん、この会社は強そうだ」と思った会社に投資して失敗したことはほとんどない。
あなたの会社は外来者からどう思われているだろうか?
月刊『致知』とは……
人の生き方を探求する“人間学の月刊誌”のこと。毎月有名無名を問わず、各界各分野で一道を切り開いてこられた方々の貴重な体験談を紹介し、人生を真面目に一所懸命に生きる人々の「心の糧」となることを願って編集されている。
今年創刊28周年を迎え、経営者、ビジネスマンから、学生、主婦まで、全国の読者にご愛読いただいています。
9月号の読みどころは、こちらから↓
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