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「希望もいつかは失望に変わることがある、だから最初から希望など持たないのが宜しい、といわれる。しかしながら、失われる希望というものは希望ではなく、期待というごときもの。決して失われることのないものが本来の希望なのである」(哲学者:三木 清)

2000年8月1日
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「『葉隠』は、日本の古典文学の中で唯一の理論的な恋愛論を展開した本といえるであろう。『葉隠』の恋愛は忍恋(しのぶこい)の一語に尽き、打ちあけた恋はすでに恋のたけが低く、もしほんとうの恋であるならば、一生打ちあけない恋が、もっともたけの高い恋であると断言している。(中略)心の中に生まれた恋愛が一直線に進み、獲得され、その瞬間に死ぬという経過を何度もくり返していると、現代独特の恋愛不感症と情熱の死が起こることは目に見えている。若い人たちがいちばん恋愛の問題について矛盾に苦しんでいるのは、この点であるといっていい」(三島由紀夫著『葉隠入門』より)

2000年8月1日
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「チャップリンは幼少時代ひどい苦労をなめた。貧しさのあまり頭が変になった母とチャップリンは二人暮らしになった。父を五歳で失ったときに母は発狂した。腹ちがいの九歳の兄はこの家から逃れて船のボーイになった。五歳のチャップリンは食べるものがなくなってマーケット裏に捨てられた残パンを拾ったこともあったという。その苦労がのちのチャップリン喜劇の中でいかに生きて描かれているかがわかるのである。それにこの母が実はえらかったのである。気が静まって正気を戻すと、小さな我が子を枕辺に呼び「イエス様はお前が運命をまっとうすることをお望みなのだよ」と何度もさとした。つまり、自殺をするなということである。それは、小さな我が子にいうよりも苦しい自分にいってきかせたのであろう。思えば神様は人間をゆたかに幸せにするためにいつも苦労させるのだ」(淀川長治著「愉快な心になる本」より)

2000年8月1日
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