●「経営理念を変えたい」と U 社長がお越しになった。
その日は「東京 ビジネスクラス」の日で、前もってアポイントを入れていただいた方に個人面談またはグループ面談を行う日。
個人面談を希望された U 社長は事前にこんなメールをくれた。
「当社は社歴50年の広告業です。数年前に私が三代目社長に就任しましたが、その直後に作った経営理念があるのですが、長すぎてスッキリしていません。たぶん、たくさんの思いをひとつの文章に盛り込みすぎたからだと思いますので、できれば潔くスパッとした理念にしたいのですが、決断がつきません。この数年はモヤモヤしたまま過ぎてしまいましたが、同じことをこれからもつづけたくはないと思って、ビジネスクラスの面談がひとつのきっかけになるのではと期待しています。どうぞ何分よろしくお願いします。」
●メールと一緒に送っていただいた経営理念はたしかに長かった。
130 文字ぐらいが一つのセンテンスに固まっていて、これでは蕎麦ではなく蕎麦掻きみたになっている。
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株式会社 U 経営理念
「お客様からのご要望ならびに声なき声にも耳をかたむけ、真の顧客ニーズをくみ取って、高い付加価値の広告媒体に転換し、顧客満足と顧客感動をご提供することができるプロフェッショナル集団として私たち○○社員は自己の実現ならびに物心共の成長と繁栄を目指すものであります」
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●「理念を変えるにあたって、どこからどうやって手をつければいいのですか?というのが U 社長の質問だった。
今の理念をベースにして、若干のリニューアルでいくのか、それともゼロベースでもう一度作りかえるのかが最初の選択である。
一番良い方法は、中長期の経営計画作りから見直すことで、その場合は「本気講座」に通うなどして 3~4ヶ月の時間をかけて理念や方針や計画を筋道立ててプランニングすることになる。
●U 社長のこの日の要望は、「リニューアルでいきたい」だった。
だったら今から作り直しましょうと、その場でホワイトボードに次々にアイデアやキーワードを書き出していった。その結果、数十分後に出来上がったのが次の経営理念である。まだ仮のものとはいえ、なかなか良い出来映えだと思う。
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経営理念:「あなたの会社をウワサにします」
圧巻のプロのワザで究極のマーケティングを演出する○○
グループ
スタッフのモットー:顧客と仲間を魅了します
会社の願い:社員を鍛え、スーパースターに育てます
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●「武沢さん、うそみたいです。私が表現したかったのはまさしくこういう事です。どうしてこんなにスッキリしたのでしょう?ここに来る前には想像もしていませんでした」と U 社長は興奮気味。
「相手の方の心の声をセンテンスにするのが私の仕事だからですよ」と返答しておいたが、一般的にいうとこうだ。
・ホワイトボードまたは紙にアイデアを書き出しながら作業する
・説明しようとすればするほどダメな理念になる
・スパッと切る
・たくさん盛れば盛るほどダメになる
・一人でやってもうまくいかないときは、複数でやる
・その時はボキャブラリーの豊富な人とやる
・キャッチコピーのネタ集を作っておくか、買っておくと重宝するスマホアプリにも使えるものがある
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【編集後記】
◆日本橋の「丸善」で気になる本を発見。「本気講座」が始まる前で手荷物が多かったので後にしようとしたら、その直後に売り場変更があったようで数時間後にはもう分かりません。
店員に聞いても「タイトルか著者が分からないとお調べできない」の一点張り。
「今日の午後に、このあたりに積んであった白いカバーのビジネス書で、作者は海外の人です」と言ってもダメでした。
本は一期一会で行きましょう!