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アクバルとビルバル

インド・ムガール王朝第三代皇帝アクバルは戦場で誕生した。当時のインドは戦国時代であり、学芸に親しむヒマがまったくない武人中心の時代でもあった。 

そのせいか、皇帝アクバルは学芸に関心が厚く、学者を尊敬していた。
その側近にビルバルという面白い学者がいて、その智者ビルバルと皇帝アクバルとの対話や逸話が沢山残されている。

逸話その1

宮廷に国中の賢人を集め、壁に一本の線を引いてアクバルはこう言った。

「誰か、この線に触れることなく、それを短くできる者はいないか?」

賢人たちは皆押し黙ったまま誰もできないでいた。

そこへビルバルが登場した。

ビルバルがやったある行為を見て宮廷内はどよめいた。
皇帝が出した問いの本質を見抜き、ビルバルがみごと正解したのだ。

あなたならどうする?

長い短い、大きい小さい、有名無名、大物小物、上手下手、うまいまずい、はすべて相対的なものだ。絶対的ではない。
だから皇帝が出した「短くせよ」という問いに対しては、相対的に短くすれば良いだけだ。手を触れないで絶対的に短くすることなどできない。

だからビルバルは、皇帝が書いた線の横にもっと長い線を引いたのだ。
それが正解だ。

経営には絶対の世界と相対の世界がある。
たとえば、売上げや利益、社員数など定量化できるものはすべて相対の世界だ。他社との比較、過去との比較において上を目指す。
だが相対的なものだけを基準に経営していては、いつまでも不安や恐怖から逃れることはできない。

二つめの逸話は明日にする。