大樹の下にある小植物は育つことができない。社長や上司が大樹だと、次の大樹が育たない。育てるためには、自分自身のフィールドが必要だ。
一例として海外にフィールドを求める方法もある。
先週木曜日、香港非凡会が開かれた。集まってくれた35名のうち33名が日本人。女性は約3割か。彼らのビジネスはワールドワイドだ。参加者のプロフィールを見てみよう。
・美容健康関連商品の輸入販売のTさん
・華南地区に特化した人材紹介サービスのMさん
・日中貿易専門商社の代表で、香港貿易発展局の顧問も行うTさん
・食に関するコラム執筆や香港の食事企画やレストラン案内を行うSさん
・金融コンサルティングを行いつつ、タイでもナイトバーを経営するFさん
・華南地区全域をカバーする日本語フリーペーパーを発行するSさん
・電子部品メーカーに勤めながら健康関連機器の開発を進めるTさん
・中国国内での飲料水の製造販売を行い、コーチングビジネスにも強い関心をもつNさん
・プラスチック樹脂部品の商社を経営し、香港に自宅、広州と日本橋にオフィスを構えるTさん
・香港大学大学院の学生Mさん
・携帯電話アクセサリーをアメリカ向けに輸出するMさん
・カラオケ機器販売と串焼き店を経営するアメリカ人のBさん
・人材紹介業を経営するSさん
・家具を日本の学校に輸出するUさん
・スポーツ用品の製造販売を行うYさん
・カタログ通販向けの商材仕入れを行うIさん
などなど多士済々だ。
香港を含む中国では、ちょっとした日本食ブーム。ほんのわずか前までは、香港でも数えるしかなかった日本食レストランは今やバブル状態。あの「和民」も高級店として人気なのだ。いち早く和食ビジネスを展開してきた日本人経営者も香港非凡会のメンバーだ。彼は、好況に沸くマカオのフィッシャーマンズワーフにも進出を果たした。
さて、香港の夜。お別れしがたい雰囲気で、午前2時三次会解散。
翌朝、フェリーで約一時間、中国の珠海に渡る。
「コンニチハ。ワタシノ ナマエ ハ、サクラコ デス。フルサト ハ、コナンショウデス」
ここは珠海日本語学校の教室だ。
中国各地から集まった18才~30才程度の学生が1年間の日本語特訓を行っている。ちょうど、今は昨年9月にスタートした学生が半年を経過した段階だというので見学に出向いた。この学校の特長は、日本語だけでなく、日本の文化や風習も同時に学ぶ。生徒達も自分の好きな日本名をつけることにしているという。
約40名の学生が2クラスに別れて日本語を覚えている。朝8時から夜7時まで全寮制で日本語漬けになる。その結果、半年もあれば全員が日常会話程度は問題なく話せるようになる。
「ワタシハ、タケザワシャチョウサンノ カイシャデ ハタラキタイデス。ソレハ、カノウデスカ?」
「ニホンノカイシャハ、メンセツノトキ ナニヲ ミマスカ?」
などなど我々との質疑応答は延々と続く。
生徒40名のうち9割が女性。この学校の卒業生は皆、現地の日本企業から青田買いされてゆき月収3万円~5万円を得るという。日本での感覚でいえば、その10倍というからスゴイ。授業料は年間20万円程度、日本の感覚では200万円程度なのでそんなに安い授業料ではなく、家族の期待を背負って日本語を学びに来ている彼らの受講態度は真剣だ。
どうしても日本語が下手な子など、夜、自室で泣きながら勉強しているという。
大樹の下にある小植物は育つことができない。育つためには、自分自身のフィールドが必要だ。