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経営は芸術だ!

顧客満足経営の大切さについて、著名な経営コンサルタントが次のように書いているのをなにかで読んだ。

「これからの時代は『顧客第一主義』では時代遅れだ。顧客第一主義ということは、まず自分や自社という立場が先にありきという発想だ。そうではなく、『顧客中心主義』の視点、つまり顧客の立場から製品やサービスを見直し、それにあわせて自分や自社のあり方を考えるべきである」と。

一見すると、もっともらしく聞こえるが、この主張は間違っている。ピカソが言うように、「その画家が何者であるかということが重要」なのである。まず大切なのは、あなた自身やあなたの会社が何者なのかをはっきりさせることなのだ。顧客の意向次第でこちらが何者にでも化けるような態度では世の中に必要な会社とは言えない。

そうした意味において、『顧客第一主義』でも『顧客中心主義』でもなく、もっと力強い芸術家的主義が求められると考える。例えば、『環境第一主義』や『感動第一主義』などを私は提唱したい。

『環境第一主義』とは、

・市場環境に適応する、市場環境を創造する
・経営環境を改善・改革する
・社内環境を改善・改革する
・地球環境を改善・改革する
・個人の生活環境を改善・改革する

それらのために、我社が存在するという視点である。

『感動第一主義』とは、

・供給側の感動(こちら側が感動して提供する製品サービスづくり)
・顧客の感動(受け手がいつも感動する製品サービスづくり)
・社員の感動(社員が我社に対していつも誇りと感動を感じる仕事)
・地域の感動(地域社会や取引先などが感動して付き合う会社づくり)

など、感動を創造していく企業精神である。

顧客、顧客、顧客と顧客ばかりに迎合し小さくまとまってしまってはならない。アンチ「CS経営」をめざし、『環境第一主義』、『感動第一主義』というスローガンに、多くの企業が取り組んでいただきたいものだ。

そのために、企業経営者には芸術家的な創造の精神が必要だと思う。

芸術といえば、古典とも言える存在になった『今日の芸術』(岡本太郎(1911-1996)著 光文社刊)を最近読んだ。ここに出てくる岡本語録のひとつひとつは、毒気をはらみながら今なお私たちに強く働きかけてくる迫力がある。

岡本氏のメッセージを幾つかご紹介しつつ、現代の企業経営者におきかえて考えてみよう。

まず、若さと青春というテーマに関して。

・「若さというのは、その人の青春に対する決意できまります。いつも自分自身を脱皮し、固定しない人こそ、つねに青春をたもっているのです。大きく歴史的に見れば、若い新しい世代が、古い時代をのり越えていくことはたしかですが、個々のばあいは、かならずしもそのとおりには当てはめられません。くれぐれも肝に銘じてほしいのは、年功が無意味であると同じように、また、たんに年齢的な若さも、決して特権ではないということです」

この本が書かれたのが昭和29年であることに注目したい。半世紀前において、すでに年功が無意味であると断定しているあたり、氏の前衛的なセンスが光っているではないか。