未分類

その設問は正しいのか?

「なんで出来ないのだろうね、武沢さん。今度こそ必ず期限までに経営計画を作ろうと思って日程調整したのに・・・。今年もとうとう期末までには完成しなかった。これって何ででしょうねぇ。」とこぼすのは名古屋のK社長。

「なぜだと思われますか?」と私。今日の話題は昨夜のこの会話をヒントにした。読者でもあるK社長、気分を害さないでほしい。

「がんばれ社長!」02年10/10号では、経営者に必要な才能の一つとして“まだ見ぬものを信じることができる能力”をあげた。
http://www.e-comon.co.jp/SampleE-comon/backnumber/021010.htm

目で見たものしか信用することが出来ないようでは、経営者として組織を正しくリードすることが出来ない。その理由は他でもない。

社長は、見たものを信じるだけでなく、信じたものを見るからだ。出来ると信じている社長は、その思いをやがて肉眼で見ることになる。出来ないと信じている社長は、これまたその現実を見ることになる。

心に浮かんだアイデアや夢を具体的な目標に置き換え、リスクを冒し、やれるかどうかわからない勝負に挑む。幾多の障害を乗り越え、やがてそれを実現する瞬間がおとずれる。仮説にすぎなかったものがついに実証されたわけだ。そこに事業の醍醐味があり、能力の伸張発揮があり、利潤も潜んでいるわけだ。

ところがこの段階のすべては、まだ目で見たことがないものばかりである。過去に一度もやったことがなく、アイデアや計画に対して自信の持ちようがない。普通なら不安があり、自信がなく、確信など持てっこない、それが常識的な人の感性だ。

ところが経営者は、そのような常識的感性の持ち主であってはならない。アイデア・計画の段階から、すでにその実現を先に見てきたかのように自信をもつ必要がある。逆にいうと、自信が持てないような計画であればやるべきではないという信号かもしれない。

なぜなら、私たちは無意識に信じているものの理由を探すようになっているからだ。毎日の仕事は、理由探しと回答探しの連続なのだ。設問が正しければ答えは正しい。設問を誤ると答えも誤る。設問とは、信じているものの証拠探しなのである。

「なぜ売上が伸びないのだろうか?」と社員に聞いてみよう。すると社員からは、売れない理由が活発に出てくるに違いない。それは、社長自らが、「まだまだ環境は厳しいなぁ」と信じているからであり、その根拠を社員から聞いて確認しているだけなのだ。

次に、
「売上を伸ばすために我々は何をすべきだろうか?」と聞いてみよう。一回でダメなら明日も、明後日も聞いてみよう。必ず何かの答えが返ってくる。これも、設問が答えを導きだしたのである。

「なぜ出来ない」、「どうしたら出来る」、この二つの問いかけは、まったく別の反応を部下から引き出すものだ。経営者は部下に対していつもいろんな問いかけを発している。「なぜ~なんだ?」「どうしたら~だろう?」
この問いかけは、発する本人が無意識に信じているものをベースにしてその理由を探すものである。

さあ、ここまでの話を要約すれば
「経営者は、信じたものを見るので明るい未来を信じよう!」となる。

以下の話は、それの応用版である。

未来というものを信じる能力が大切なことと同じくらい重要なことで、別のあるものを信じる必要がある。
それは、能力だ。自己と他人の能力、しかも潜在能力というまだ見ぬ能力を信じる必要がある。

過去において私(達)は何度も無理難題に挑み、そのたびに勝利してきた。これからもさらに手強い強敵が現れるだろうが、私(達)も更に進化しているので負けるわけがない。
このように経営者が思えることが重要だ。根拠もなく、こうした未来や能力を心から信じられるようになるには、その方法論があるのだろか? それは、ある。「狂う」ということを学ぶのだ。「狂う」について詳しくは、10/30号をご覧いただきたい。
http://www.e-comon.co.jp/SampleE-comon/backnumber/021030.htm

正直で誠実なK社長、もっと狂いましょうよ