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経営のデジタル化

Rewrite:2014年3月26日(水)

2001年3月のこと、私がメルマガでユニクロの経営を賛美したところ反論のメールをいただいた。「デフレを助長するような低価格戦略で一人勝ちし、その影でどれだけの会社が泣いているか」という指摘だった。業界の方なのかもしれないし、そうでないかもしれない。
私たち経営者にとって関心があることは、今お客を喜ばせている会社から何かを学ぶことである。決してユニクロを賛美することでもバッシングすることでもなく、したたかに学ぶことである。

ITについても同様だろう。

2000年から2001年にかけて日本や米国ナスダック、NYの株式市場は大暴落した。特にIT関連のハイテク企業の業績低迷から株価が10分の1以下にまで下落した会社も少なくない。アメリカのマスコミは、「インターネット自体の評価まで下方修正すべきだ」と論じている。

日本の経営者、とりわけ中小企業経営者の中には、次のような考えの持ち主が少なくない。
「インターネットなんてしょせんは電話やFAXの延長でひとつのツールに過ぎない。経営者自身がそうしたツールの出現に対して、ワイワイ騒ぎ立てるほどのものではない」と。
「社員たちがインターネットとかホームページとかの導入を提案してくるが、どうもピンと来ない。ネットで儲けている会社なんてほとんどないのが現実なのでは」という人もいる。

哲人ゲーテは、「人は理解できぬことを低く見積もる」と言った。

ITが経営に及ぼす影響を低く見積もっているとしたら、その会社に明日はない。
インターネット技術を中心としたIT革命は私たちのワークスタイルやマネジメントの常識を根底から覆していく可能性があるのだ。それだけでなく、一部の製品や企業では、デジタル化の波のによって製品のあり方からビジネスモデルまで100%変わってしまった。
百科事典がその好例だ。紙に印刷され、大きなスペースを必要とした百科事典はCDに置き換わり、今ではネットに置き換わった。理由は明白だ。マウスをクリックすれば次から次へ関連情報へジャンプしてくれ、音声や動画までも再生できるからだ。おまけにスペースが要らないし、出版者側も情報の中味を容易に更新できる。

また、デジタル技術の普及にともなって企業経営がどのように変わってきているのかを学ぼう。
ビルゲイツ著「思考スピードの経営」(日本経済新聞社刊)がその格好のテキストとなる。彼は語る。「私には単純だが、強い確信がある。情報をいかに収集、管理、活用するか。あなたが勝つか負けるかはそれで決まる、というものだ」