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ディズニー手腕

お盆休みが近づいた。この夏はどのようなバカンス計画がおありだろうか。滅多に取れない長期休暇だから、ちょっと気張って観光名所巡りでも、とは思うがどこへ行っても人だらけ。だったら日本を脱出しようと海外レジャーも悪くないが、それも不慣れなうちは疲れるだけ。だったら欧米人がよくやるように、一箇所でデンと構えた「滞在型リゾート」なるものはいかが。そうしたリゾートを日本に根付かせようじゃないか、と頑張っている会社がある。その好例が東京ディズニーリゾート(ランドとシーの併称)を手がけるオリエンタルランド社だ。

ディズニーの本場米国にも存在しない日本オリジナルのテーマパーク『東京ディズニーシー』は、バブル経済まっただ中の1988年に構想が発表され、13年の歳月をかけて昨年9月4日に開園した。よもやこれほど厳しい経済環境になっているとは予想もしていなかったに違いないが、開園後11ヶ月を経過して何と計画を大幅に上回る来場者数や売上高を記録している。それを裏付けるように、今年4月23日に発表した平成14年3月期連結決算の予想修正は、次のようになっている。(単位百万円)

売上高  経常利益
01年11月13日発表数字: 274,700   13,100
02年 4月23日修正数字: 281,000   23,700

オリエンタルランド社によれば、ランドとシーをあわせた東京ディズニーリゾートは今後、宿泊を伴う滞在型リゾート地として更に飛躍すると見ている。その対応策として、不足する宿泊施設を確保しようと、「グッドネイバーホテル」という名称で、有力ホテルと提携を結びはじめた。舞浜にあるオフィシャルホテル以外で協力関係を結んでいるホテルがすでに18もある。いずれもがそうそうたるホテルであり、うち10ホテルはすでに稼働している。中期的には関東圏全体にディズニー提携ホテルが存在することもあり得るように感じさせる。

オリエンタルランド・プレスリリース
http://www.olc.co.jp/news/news.cgi?page+23

「今度の4連休は家族みんな揃ってディズニーでのんびりしようよ!」なんていう会話が当たり前に行われるようになったとき、オリエンタルランド社はどの程度化けてしまうのだろうか。
同社はその実現に向けて、深謀遠慮とでもよぶべき企業戦略を仕掛けてきたし、今も着々と手を打っている。

「人工的に作られたテーマパークなんか面白くない、それより自然を満喫できるようなアウトドアの休暇が好きだ」という方も私の回りには少なくない。
そうした好みは尊重するが、それでも一度はディズニーを訪れることをおすすめしたい。経営者ならばそれが義務として毎年何回かは定期的にウォッチする必要があると思う。
そして、97.5%という驚異のリピート率をはじき出す要因を探してみてほしい。
フロリダのディズニーワールドのリピート率が70%程度といわれているので、東京のこの数字がいかに驚異的と言えるかがわかる。

また、リピート率だけが特長ではない。ディズニーが公表している数字を見ていくと驚くべき数字が他にもたくさん見つかる。

平均滞在時間8時間という快挙
これは普通のテーマパークの2倍に相当する。滞在時間と客単価は正比例するので、いかにしてこの時間を延ばすかが戦略で  もある。ディズニーではそのためのしかけが至るところにある。
例えば、
☆閉園間際に行われるビッグイベント
☆疲れにくい地面の素材
☆至るところに休憩施設がある
☆移動のための乗り物もアトラクションの一部。疲れたら歩かなくても良い。
☆現実にかえる時間・空間を排除している
☆昼と夜は違う景色やアトラクションを見ることができる
☆出入り口が一箇所しかなく、帰るのが面倒くさい
☆帰るときは出口にあるモノレールで駅まで直結している安心感

テーマパーク事業の内訳(単位:百万円)

☆アトラクション・ショー収入 114,468 (45.5%)
☆商品販売収入         83,944 (33.4%)
☆飲食販売収入         44,874 (17.8%)
☆ホテル収入          8,133 (3.2%)
☆その他             222 (0.1%)
合  計          251,643(100.0%)

物販だけをみても、銀座の老舗デパートと変わらない売上を上げている点に注目したい。また、飲食販売の448億円は、外食企業ランキングの順位でみたときに堂々25位に入る規模だ。

「人とお金が集まるからくり」と題して三笠書房から文庫本が出版されている。ディズニーの強さについて詳細をお知りになりたい方はご一読をおすすめしたい。

97.5%のリピート率ということは、実質上、ほぼ100%の人がディズニーリゾートに行って満足すると考えて良い。
しかも「あ~あ、楽しかった」と満足するだけではない。「ホントに楽しかった、また来ようね」と言い、実際に来る人が97.5人いるわけだ。世界的にみても稀に見る施設が身近にあることを利用しない手はない。そしてあなたのビジネスにディズニー流の手腕を活かすとしたら、どんな手があるのかを考えてみよう。

東京ディズニーリゾート http://www.tokyodisneyresort.co.jp/
オリエンタルランド http://www.olc.co.jp/