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日本の財政 その2

日本の財務体質は、全国の中小企業平均値よりも悪いと書いた。国も企業と同じで、財政黒字にもっていかない限り、財務が好転することはない。
よって対策は二つしかない。

・収入を増やすか(景気対策)・・・販売促進
・支出を減らすか(構造改革)・・・リストラ
・両方やるか

である。

国が推し進めようとしている構造改革とは、長期的に見れば国民負担の軽い国にしようということだ。
私たちはそれを見守りながらも、現行税制にのっとり、税金をもっと払う努力をしなければならない。そのためには、今以上に儲かる会社にすることが前提条件である。7割近くの企業が赤字では話にならない。

国家予算82兆円のうち、50兆円を占めるものが税収である。その中の40兆円を占めるものが所得税と法人税、それに消費税だ。

【歳入】・・・収入予算

租税及び印紙税収入  50兆7,270億円
税外収入       3兆6,074億円
国債発行 28兆3,180億円
合計         82兆6,524億円

【歳出】・・・支出予算

一般歳出 48兆6,589億円
国債費 17兆1,705億円
地方交付税 16兆8,230億円
合計         82兆6,524億円

租税及び印紙税収入  50兆7,270億円の内訳
・所得税       18兆円
・法人税       12兆円
・消費税       10兆円
・その他       11兆円
である。

つまり、国家収入の半分を占めるものが企業であり、そこで働く従業員とその家族が支払う負担を加えると、すべてが我々が納める税金、我々が買う国債によって国は運営されているのだ。
「がんばれ社長!」とは、「がんばれ日本!」をも意味することになる。

そしてもう一点。
少子高齢化の歯止めが利かない。日本の出生率は1.34で世界の中で12番目に低い出生率だ。世界の平均は2.5で、もっとも高いイエメンでは7.3である。

ちなみに出生率とは、ある年に生まれた出生数をその年の10月1日現在の日本人人口で割ったものを1000倍したものだ。
出生率=年間出生数/10月1日現在日本人人口×1000

年  出生率
1950 3.65
1955 3.37
1960 2.0
1965 2.14
1970 2.13
1975 1.91
1980 1.75
1985 1.76
1990 1.54
1995 1.42
1999 1.34

この少子化という問題を国民はどう受け止めているのか。

平成7年の厚生省国立社会保障・人口問題研究所「人口問題に関する意識調査」では、

非常に好ましい    1.1%
好ましい       4.0%
どちらともいえない 46.8%
好ましくない    37.6%
非常に好ましくない  4.7%
不詳・無回答     5.8%
となっている。

決して好んで少子化に取り組んでいるわけではない。そうせざるを得ない要因を国や企業が作っているのかも知れない。

未婚率の上昇と晩婚化、それに働く女性の増加によって出生率が低下しているが、これは深刻な問題だ。少子化そのものが高齢化を促進している皮肉な現象にもなっているのだ。

我々ができることはあるはずだ。明るい未来像を社員に示すことや、勤務環境を整備することなどの他に、愛知県のあるカーショップのように変形型家族手当を付けているところもある。この会社では、退職金のウエイトを減らして家族手当を復活させたのである。
一人目より二人目、二人目より三人目の子供のほうが手当て額が大きいという制度だ。

二日間にわたって日本の現状を大きく捉えてみたが、申し上げたかったことを整理してみよう。

<結論>

1.国を支えているのは私たち経営者であるという自覚をもとう。
2.もっと儲かる会社にして税金を払おう。
3.構造改革など、税金の使われ方に対して注目しよう。
4.雇用を創出しよう。そのためにも儲かる会社を作ろう。
5.少子化をくい止めるために、企業でできる貢献を考えよう。
6.猛スピードで進む高齢化社会に備え、高齢者雇用を考えよう。

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