Rewrite:2014年4月2日(水)
「しょせんバイトですから」「あくまで補助スタッフですから」と語る経営者のもとでは、有能なパートアルバイトは育たないようだ。むしろ、現場の力を経営に活かすために、パート社員の潜在能力を最大限に引きだそうと努力している企業には元気なところが多いのではないか。
そんな中、日経ビジネスの『正社員はいらない』特集が興味深かった。ヤマト運輸、ディズニーランド、マクドナルド、ヒロセ電機、牛角、ブックオフ、セブンイレブン、ユニクロなどでのパート戦力化事例をレポートしていた。
これを読んで私が気づいたことは、予想外に時間給が低いこと。にも関わらず、社員なみの自覚をもってパートが働いているのだ。たとえば東京ディズニーランド・ディズニーシーでは、正社員2500名、パート社員(準社員)2万人が働いている。
パート社員の時間給は900~1200円。
マクドナルドのアルバイトで最高ランクで1050円。「パート王国」と呼ばれ、パートが生産現場を取り仕切るヒロセ電機で700~800円などとなっている。どうやら、パートの戦力化と賃金水準とは相関関係が乏しいようだ。それでは、パート社員をそこまで本気にさせているものは何だろうか。
ひとことで言えば、「やりがい」というありふれた言葉になる。その「やりがい」を構成する幾つかの要素を私なりに考えてみた。
1.期待…社員と分けへだてのない期待をし、同時に権限も与えられていること。
2.誇り…評価と賃金規定が明確であること。がんばっている人には、ランクが上がる、ユニフォームが変わるなどの自尊心をくすぐるシステムがある。
3.研修…必要に応じて研修への参加が求められるなど、成長する機会に満ちていること。
4.経営参加…パート社員と経営者または部門長とが直接つながっていること。会議やメールなど、手段は問わないので、経営者に直言できる方法が存在すること。
5.伝統…優秀な先輩パート社員がいて、手本となっていること。
6.面白みの更新…後述
などではないだろうか。
「面白みの更新」とは日経ビジネスに出ていた言葉だ。マクドナルドでアルバイト歴9年になる小川さんは28才の大学院生。ASWと呼ばれるアルバイト最高ランクにある。時間給は1050円。
その小川さんが、他にも時給が高いアルバイトがありながら、なぜ9年も続けたのか、という質問にこう答えているのだ。
「面白みの更新があったのです」
経験を積むごとに新しい仕事・より責任ある仕事を任され、今では40人いるアルバイトの評価をする立場にある。彼の言葉こそ、パート社員戦力化の大きな鍵を握っているようだ。いや、パート社員にとどまらず、社員にも経営者にも当てはまる。
提言1…「あなたの会社をパート王国にしたならば、経営はどのように変わるか」を考えてみよう。
提言2…あなたの会社では、「面白みの更新」をどう作るかを考えてみよう。
“正社員でなければならない”という聖域はないのかも知れない。