Best of がんばれ!社長  武沢 信行

ベストオブがんばれ社長!社長・経営者を応援する「がんばれ!社長」ベストメッセージ(メルマガ「がんばれ社長!今日のポイント」バックナンバーより選抜公開)

リアクションが悪いぞ!!

   

セミナー会場の受講者の席に「いいね!」ボタンが欲しい。
何なら「?」ボタンでもいい。
反応がまったくつかめないセミナーほどやりにくいものはない。
分がいまどんな顔をして他人の話を聞いているのか、鏡で見せてやりたい。
その日は、そんな具合に憤慨していた。

「入社して半年になりますので新人たちに激励講演を」と頼まれた。
資料を準備して当日を迎えた。
すると、講演直前の講師控え室に社長があらわれ、こう言った。
「武沢先生、うちの新人には数字のことをまったく教えてきていません。最近、支障がでています。突然なのですが、数字の基礎知識をご講演のなかに入れていただけませんか」という。

「わかりました。乗りかかった船です」と次の二部構成で講演することになった。
第一部:ビジネス数字の基礎知識
第二部:激励講演

妙な感じの二部構成だが、やむをえまい。

問題はそのあと起きた。
二部構成にしたことが問題だったのか、それとも私の話があまりにつまらなかったからか、それとも、あれが今の若い世代の特徴なのか、それとも開催時刻が午後5時からなので、彼らにスタミナが残っていなかったのか、それとも会場設営(ロの字)の問題なのか?
理由は分からない。

私が何を話してもキョトンとしている。
そこに座っていることがとても居心地が悪いかのように、落ち着かない目をしている。
私も確かめたくなってきた。
「ここまでのところで何か質問か感想がありますか?」

1~2名の例外をのぞいて、誰一人目を合わせようとしない。
30名ほどの受講者がいたが、メモをとっている人も少ない。
「いいですか、この箇所は大事なところなんだから、必ずメモをとって覚えておいてね」ときつめに言うと、全員あわててメモを取り始める。

「講師にリアクションしたら負け」とでも思っているのだろうか
賛意もなければ反意もないし、質問もない。高校生のように初心(うぶ)な態度だが、全員大卒だという。
半ばまできたとき、「今日は2時間もらっているけど、もうこの辺でやめようか?」と皮肉を言ってしまった。

閉会後、控え室で「指導がいたらず、申し訳ありません」と社長
私は半分冗談、半分本気で次のように申し上げた。

「座席に『いいねボタン』『わるいねボタン』でも置いて、リアクションするように指導してください。
日頃、顧客や社内でのコミュニケーションがどうなっているのか心配です」と申し上げた。

その日、思い通りにならない私は感情的になっていたようだ。

冷静に新人諸君を見てやることができず、帰りのタクシーでも「もう新人研修なんか二度とやらない」と内心で息巻いていた。
だが、何日か経って、別のことに気づいた。
彼らの不思議な目は、実は何かを怯えている目だったのではないか

日ごろ、仕事で目標を達成していないそうだ。
上司や先輩に叱られるばかりで、褒められることはほとんどないのではないか。
「社長と武沢さんは一蓮托生。今日の研修で自分は何を叱られるのだろうか」という目で私を見ていたのかもしれない。

私の負けだ。
新人に負けたのではない。
自分の役割を理解せず、彼らの深意を知ろうとせず、自分の感情をぶつけて強制的にリアクションを変えさせようとした自分がアマチュアだった。

彼らにいま必要なメッセージは別のものであり、私の別の態度だった。

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