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どうなるキャッシュレス決済

昨日のメルマガでは、便利なモバイル決済が手術台の上にまで押しよせたニュースをお伝えした。

そのニュース
→ https://tocana.jp/2018/02/post_16003_entry.html

私も今年からコンビニやタクシー、電車や新幹線などはキャッシュレスにしたが、飲食店や小売店ではいまだに現金支払いを優先している。
キャッシュレス化の比率は全体の2~3割といったところだろうか

日本人は現金決済を重んじる国のようで先進国ではドイツと並んで2割を切るキャッシュレス化でしかない。
韓国では9割、中国では6割、アメリカでは半分近くがキャッシュレスだという。

現金払いとキャッシュレス、どちらが良いかは個人判断だが、内閣府は2027年6月までにキャッシュレス決済比率4割を目指している。
あと9年で現状の二倍のキャッシュレス化にするという目標だ。
しかし経産省はキャッシュレス推進派で、4割普及の実現は2027年より前倒しすると言い、将来目標はキャッシュレスを8割にする、という。

日本同様に現金比率が高いドイツでは最近、急速にキャッシュレス化が進み始めたと報じられた。

★ドイツの現状
https://jp.reuters.com/article/germany-cash-idJPKCN1FZ0TR

おそらく日本も時間をかけてキャッシュレス化が進むだろうが、日本が現金を尊重する理由として考えられるのは

1.勤倹貯蓄を美徳とする心
日本人は貯蓄好きの借金嫌いで、現金以外は皆「借金」というイメージがある。
事実、電子マネー以外は後払いなので「借金」である。

2.自然災害を何度も経験している
地震を始めとする自然災害で停電すれば現金以外は使えなくなることを本能として分かっている。

3.現実問題として、キャッシュレス決済できる場所がまだ少ない
アジアの国では屋台でもキャッシュレス決済ができるほど使える店が多いと聞いたが日本はまだ少ない。

現金以外の決済方法としてクレジットカードや電子マネー(Suica などのプリペイドカード)、QR コード決済(アップルペイやアリペイなど)があるが、今後の本命は QR コード決済とみられている。

中国では「アリババ」と「テンセント」の大手二社によるモバイル決済戦争が熾烈さを増している。
中国全土のショッピングモール、屋台、ネイルサロンなどスマホ決済を導入する可能性がある場所ならどこにでも営業攻勢をかけてシェア競争をしているというのだ。

そのあおりを受けてアリババ傘下の金融会社が四半期決算で赤字を出した。「支付宝(アリペイ)」のユーザー拡大に向けた積極的な支出が響いたという。
後発企業のテンセントが人気アプリ「微信(ウィーチャット)」の決済機能「ウィーチャットペイ」で猛烈に追い上げているせいだ。
中国ではすでに数億人の国民が食事や買物、バス、タクシー、映画までスマホで支払っており、現金やクレジットカードが入った財布をあくまで予備。
メインはスマホ決済だそうだ。

2015年には約2兆ドルだった中国国内のスマホ決済が昨年(2017年)は15兆4000億ドル(約1700兆円)に膨らんだ。
アメリカでは2017年にペイパルやアップルペイなどを合わせても推計3770億ドルだったという。
クレジットカード大手のビザとマスターカードが世界中で処理した決済金額は二社合わせて12兆5000億ドルだというから、中国のスマホ決済市場のスケールの大きさが分かる。

アリババ、テンセントの狙いはなにか?
それは購買データの掌握だ。
消費者個々の支出や決済動向がリアルタイムで把握できる。
また、お店や企業の販売・収入動向も分かるので、その情報をもとにして融資や投資、保険販売などのビジネスが可能になる。

杭州のある火鍋店経営者はアリペイとウィーチャットペイの両方で支払いが可能にした。
しばらく営業するうちに、アリペイからメールが届いた。
それには、3万人民元(約52万円)の融資が提案されていたという。
すぐに申請したところ、数分後には銀行口座に入金があった。
AI によってすべての利用店舗を事前審査しているのだ。
しかも貸し出し金利は銀行より低い。

日本では 楽天ペイ、AirPAY、Square のほかに、LINE、ソフトバンク、アップル、アマゾン、ゆうちょなどがシェア争いをしている。
勝者はどこになるのか。
私たちの暮らしやビジネスはどう変わるのか、引きつづき注目していきたい。