その他

私の経営実力判定表

松下幸之助は200年先までを見通した経営ビジョンをつくった
それを知った孫正義は、ソフトバンク300年構想をつくった、と言う。
おそらく本当の話だろう。
だが、同じことを皆がすべきかというと何とも言えない。
自分を鼓舞するためか、大局観を養うのには役立つだろうが、100年以上先の計画が実用的なものになるとは思えない。

一般的に経営計画書では、5年先までを見通すことが多い。
昭和の高度成長期には10年計画をつくる会社も少なくなかったが、近年は5年である。
そのなかでも行動にコミットメントできるのは今年と来年だけで、そこから先は予見できない。

大企業であれば今日の意志決定が結果として表に出てくるのは、早くても1~2年先で、普通はもっと時間がかかる。
中小企業であれば、比較的短い時間で結果がでるが、それでも、半年以上は待たねばならないことが多い。

ロバート・ノイスとゴードン・ムーアが設立した「インテル」に3番目の社員として入社したアンドルー・グローヴ(1936ー2016)は、長期計画についてこんなことを述べている。

「私自身『年次報告書』などといわれるぶ厚い報告書はほとんど見もしない。
計画担当者はどのくらい先まで見るべきなのか。
インテル社では、長期計画を論じる場では今後5年先までのことを検討する」

「今年の決定と行動が実際に影響を受けるのは”翌年”である。われわれは、翌年の長期計画会議において再度、5ヶ年計画を練り直すこともできる。その際には、その年が第二の5ヶ年計画の最初の年となる。したがって自分が実行しているのは、現在と次の検討時との間の時間帯の中に存在する計画の一部分だけだ」

変化の激しいテクノロジー企業のトップで、名経営者の名をほしいままにしたグローヴでも、今年と来年しか見ていなかったというのは興味深い。

社長業を何年やるか。
その通知表はどのようなものか。

以前「わたしの経営実力判定表」というものを開発し、セミナーなどで使っていたことがある。

この判定表は、経営成果にフォーカスした◎○△×の判定表である
仮に社長業を15年やってきたとすると、前年比で粗利益や営業利益を何%伸ばせたか、といった評価項目で採点する。
その年(期)の総合判定で◎か○を「勝ち」と認定し、△と×を「負け」とする。
15年のうち8勝7敗であれば勝ち越しなのだが、時々「全勝」という経営者にお目にかかる。
リーマンがあろうが何があろうが関係なく成長してきた経営者はプロといえる。
幸い、いままで「全敗」という経営者にはお目にかかったことがない。

あらかじめ作ってある客観的な評価基準で自身の経営力を採点し、進歩の機会としていこう。

明日はこの「わたしの経営実力判定表」の内容をご紹介する予定。