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続・フリーズしたらリセットしよう

●「お腹を引っこめてぇ、ゆ~っくり、深~い呼吸をしましょう。そうです。眉間の力も抜いて今日あったいろんなことをすっかり忘れてしまいましょう。いまはひたすら、左の脇腹が伸びるのを味わいましょう」

上手なコーチは指導がうまい。
60分間彼女の指導に身をまかせていると、心も体もスッキリする。

●もし仮に、次のような指導をするコーチがいたら私の頭はきっと混乱するだろう。

「必ず腹式呼吸を忘れずにポーズを続けましょう。ポーズと呼吸は一体で行うべきものです。呼吸とはいっても、胸でおこなう胸式呼吸ではありませんからね。また、腹式呼吸も力んでしまっては効果が乏しいので、必ず肩や眉間の力を抜いて、必ず下腹部の臍下丹田に意識を集めて呼吸するのです。そのとき、必ず考えごとをするのを止めにして下さい。もし考えごとをしていては、呼吸がおろそかになってしまうからです。それではここに来ている意味がありませんよね。今日もいろんなことがあったとは思いますが、今、それを思い出す時ではありませんよ。いまやっている左の体側を伸ばすこのポーズですが、右に身体を曲げるというよりは、左の体側が徐々に伸びていくというイメージで伸ばしてみてください。必ず呼吸に意識を。眉間も肩も力をぬくのですよ。体側を伸ばして。必ず臍下丹田ですよ、必ず、そう必ず!」

この場合、何が良くないのだろうか?
ひとつは情報過多。大事なことがありすぎる。それに、「必ず」と意気込みすぎていて、こちらは自然に肩に力が入ってくる。

●同じことを教えているのだが受け手の印象はまるで違う。

なるべくものごとをシンプルにしてあげよう。そして気持ちよく仕事ができるように誘導してあげよう。どんなに複雑高度なプロジェクトも、ひとつひとつの作業工程はシンプルなもののはず。

●先月読んだ『吉越式クラウド仕事術』に紹介されていた『Nozbe』というアプリは、この一ヶ月で私の司令塔がわりになってきた。
パソコンで入力した様々なTO-DOやプロジェクトがクラウドに保管され、iPadやiPhoneでいつでもチェックできる。

●同様のアプリは他にもたくさんあるが、GTD(Getting Things Done)の原則に忠実で、毎日使うにふさわしいデザイン性や操作感という点で『Nozbe』が筆頭だろう。

★Nozbe → http://www.nozbe.com

●この「Nozbe」の魅力はTO-DOとプロジェクトを簡単に管理できる点にあるが、それ以外に「コンテキスト」の存在に特色がある。
「今日必ずやる」と決めたことが毎日100%できるのなら誰も文句はない。しかし、その半分もできない日があったり、まったく予定外のことをやってしまってテンションを下げてしまうことがる。
(何かの理由でテンションが低いから優先順位を守れないのだが)

そんなときは、一時間ほどカフェで気分転換しよう。iPadを持参してカフェで「Nozbe」を開く。そこにある「カフェ」というコンテキストを見たら、『自炊本「○○」を読む』とある。それを読むうちに新しいインスピレーションを得て、もう一度朝の新鮮な気分で「今日必ずやる」のTO-DOに立ち向かえる。

●私の「コンテキスト」は次のとおり。

<場所のコンテキスト>
・オフィス
・自宅
・移動中
・カフェ
・ヨガ
・どこでも

<道具のコンテキスト>
・パソコン
・iPad
・iPhone
・マンダラ手帳

<行為のコンテキスト>
・電話
・メール
・読む
・ミーティング
・買い物

<時間のコンテキスト>
・朝
・昼
・夜
・休憩
・休日

<人のコンテキスト>
・社内スタッフ
・外部スタッフ
・家族

<状況のコンテキスト>
・絶好調時
・通常時
・低調時
・最悪時

●もちろん一つのTO-DOには何個でもコンテキストを選べる。

「iPad2を予約する」というTO-DOは、「買い物」というコンテキスト以外に、「いつでも」「低調時」「最悪時」「移動中」というコンテキストも設定してある。

●移動の新幹線も貴重なワーキングタイム。
のんびり新聞や雑誌を読んだり、缶ビールを飲んで昼寝しているヒマはないのだが、ついついキヨスクで弁当と一緒に雑誌を買い込むと、一時間は棒にふってしまうことがある。

●駅へ向かう地下鉄の中で「Nozbe」を立ち上げ、「移動中」のコンテキストをチェックしたら、「××の目次を考える」とあった。
車窓の景色を楽しみながら弁当に舌鼓を打ち、「××の目次を考える」作業はわずか10分で終了してしまう、ということになる。

●20個ある「プロジェクト」と25個ある「コンテキスト」を使いこなすことでプロジェクト管理やタスク管理に柔軟性がもてるようになる。

そもそも仕事をする場所や道具や状況といったものはいつも異なるもの。もし、オフィスにいないと仕事ができないとか、パソコンがないと、好調でないと、といった制約がありすぎると自分をコントロールできる余地が狭くなる。
いつでもどこでもどんな状況でも行える最善の行動があるのだと分かっていたらどうだろう。そういう意味で「コンテキスト」という概念、もっと早く知っておくべきだったと思うが、これを知ったからには、今後は多少、自分を御するのがうまくなりそうな気がする。

●目標管理とスケジュール管理はマンダラ手帳で、プロジェクトとタスクの管理はデジタルツールで、という使い分けが今のところ私の最善のようだ。

GTDよ、ありがとう。