●「あれ、固まっちゃった!」
何分待っても画面がフリーズしたまま。やむなくパソコンを強制終了したら、やりかけの仕事が消えてしまった。あなたもそのような経験をされたことがおありだろう。
負荷をかけた仕事をしたあとは、いったんリセットしてメモリーの作業領域を回復してやらねばならない。
●それは人間もいっしょ。
人間の場合は、リセットにあたるものが休養や睡眠やストレス発散のスポーツや娯楽だろう。だが、それでもリセットできなくなってきたらどうすればよいか。長期休暇で気分転換できればよいが、なかなかそういうわけにもいかないとしたら。
●そこで、GTDの出番だろう。
GTDとは「Getting Things Done」の略で “仕事をなしとげる技術”と訳されている。GTDはホワイトカラーの仕事の生産性を飛躍的に高めるもので、今後、企業の社員教育メニューには必ずGTDが盛り込まれていくことになるだろう。
「GTD」(ウィキペディア)
→ http://ja.wikipedia.org/wiki/Getting_Things_Done
●「GTD」と聞くと何かすごいノウハウのように感じられるが、実はたった5つのステップで構成され、それを週間単位でチェック・検討を加えるというシンプルなもの。
昔からプロフェッショナルなら誰しもがすでにやっている事なのだが、それを技術的・哲学的に体系づけた点が新しい。しかも最近はiPhoneやiPadの出現によってGTDがやりやすい環境が整ってきた。
●GTDの5つのステップは、「収集」「処理」「整理」「見直し」「実行」である。
まずはこの分野の定番本『ストレスフリーの整理術』(デビッド・アレン著、田口元監訳、二見書房)を一冊入手しよう。
頭の中がフリーズしてしまいそうな方や、調子が上がらない方はまず今度の週末、この一冊を読んでみよう。ただ、読破するのに少々骨が折れるかもしれないので、サラッと1~2時間で通読したあとは、即実践にとりかかるのがよいだろう。その時にはこの本は脇において、必要な箇所をもう一度拾い読みすればよい。
★『ストレスフリーの整理術』 http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2939
●GTD実践の最初のステップ、「収集」とは。
気になっていることをすべて「Inbox」(箱)に放りこむ段階をいう。
項目の分類整理はあとからやるので、とにかく気になっていることを次々にはき出すのだ。2時間から3時間あれば、どんなに複雑な問題を抱えている人でもほぼ書き尽くすことができるはずだ。
●次にそれを「処理」する。
「処理」にあたっては四択のいずれかを選ぶ。まず、不要なものはゴミ箱行き(削除)する。
次に、もし二分以内でやれることであればその場で片づける。その程度の用事をTO-DOリストに書くこと自体がストレスの元ということだろう。三つ目に、人に任せられることがあれば「委任」する。こちらには、その控えだけが残っていればよい。デキル社長は「委任」もうまい。四つ目は、やることでありながら二分以内では済みそうもないことなので、TO-DOリストまたはプロジェクトのフォルダーに保管する。
●たとえば、「新しい営業方法を開発する」というのはTO-DOリストと言うよりはひとつの”プロジェクト”である。
新しい営業方法を開発するためには、「参考になりそうな本やセミナーの情報をあつめる」「同業他社の事例を集める」「異業種の成功事例を集める」「社内でブレストする」「次年度の経営計画書にその内容を盛り込む」などの項目に分けることができるだろう。
TO-DOのかたまりがプロジェクト、プロジェクトとはTO-DOのかたまり、と覚えておこう。
●次が「整理」である。
TO-DOとプロジェクトをきちんと整理する。
いま、どのようなプロジェクトを抱えているかをこれを機会にきちんと理解できるようになる。ちなみに私が今抱えているプロジェクトの一部はこちら。
・今日必ずやる(11)
・近日中にやる(29)
・広告依頼が殺到する(9)
・セミナー講演に人が行列する(7)
・成功者が続出する「がんばれ!クラブ」(3)
・BARのマスターになって人を呼ぶ(5)
・こんなに売れるの!社長のための通販サイト(4)
・メルマガで書く(9)
・世界をつなげる元気な和僑たち(12)
・夏の沖縄 離島合宿の旅(3)
・直木賞作家になる(2)
・家族を応援する(11)
・仲間や友人を応援する(16)
・朝晩の達人になる(8)
・今年読みたい100冊の本(11)
・Nice!オヤジになる(3)
・いつかやるかも(22)
・私の人生を彩る Wish たちの List (148)
という具合。(実際には秘密のプロジェクトもいくつかある)
( )の中の数字はそれぞれのプロジェクト内にあるTO-DOの数である。
●ざっと300項目が頭の中から外に向かってはき出され、きれいに分類できた。もしこれを頭の中だけで抱えているとしたらフリーズしない方がおかしいわけだ。
●もちろん、この数はまだまだ少ない方である。なぜなら、私自身が
『Nozbe』(後述)というアプリを使ってGTDを始めたのはごく最近だから。頭の中にある細々としたことを全部放りこんでいったら、おそらく1,000項目には達するはず。もちろん、そうしなければGTDの神髄ではないので、今週中に頭の中にあるすべてを「収集」「整理」「処理」する予定だ。
●次が「見直し」。
毎朝の見直し、毎週の見直し、毎月の見直しを作業ルーティンに組み込んで、自分自身が何をなし遂げ、何が課題として残っているのかを見なおす。この時間はいわゆる木こりがのこぎりを研ぐ時間であり、ここをおろそかにしては事をなし遂げる達人にはなれないのだ。
自分のGTDシステムが機能しているかどうかを点検補修しよう。
●最後が実行。
今、リストにある一番のものをやる。やるかどうか、いつやるか、それはもうすでに決めたのだからもうためらう必要はない。
自らつくりあげたシステムを信頼し、それに身を任せればよいのだ。
もしおかしければ、次の「見直し」時期に修正しよう。
●明日は、「Nozbe」というソフトウエアと「コンテキスト」を使った自己操縦術を考える。
<明日につづく>