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続・十住心論

●読者からメールを頂戴しているので、二通ご紹介したい。

最初は岐阜のS社長のメールから。

・・・”三句の法門”(さんくのほうもん)のお言葉がすごく気に入り、自分でA4用紙に書き、写真に撮り、待ち受け画面にしています。
妻にこれを見せたら、「そうやって教えは広まっていくのです」と言われました。とにかく、このお言葉は心が休まる気がします。

あと、空海の十住心ですが、私は「第二住心 愚童持斎心 (ぐどうじさいしん)」、恥ずかしながら、良く言って、ここだと思います。
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次は静岡のK社長のメール。

・・・空海の「十住心論」のことは知っていましたが詳しい内容は今回はじめて知りました。人の心を十段階にランキングづけするなど、大胆な試みですね。私が大好きな孔子の教えが「レベル2」に扱われているのは意外というか心外ではありますが、「レベル6」以降の内容を楽しみにしています。
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では昨日の続き。

●第六住心 他縁大乗心(たえんだいじょうしん)

「無縁に悲を起して、大悲初めて発る。幻影に心を観じて、唯識、境を遮す」
むえんにひをおこして、たいひはじめておこる。げんえいにこころをかんじて、ゆいしき、きょうをしゃす

・・すべてのものや出来事に愛の心を起こすことによって、はじめて大いなる慈悲の心が生ずる。
菩薩は、すべてのものを幻影と観じて、ただ心の働きだけが実在であると悟った。仏教ではそれを「唯識」という。

●第七住心 覚心不生心(かくしんふしょうしん)

「八不に戯を絶ち、一念に空を観ずれば、心原空寂にして、無相安楽なり」
はちふにけをたち、いちねんにくうをかんずれば、しんげんくうじゃくにして、むそうあんらくなり

・・あらゆる現象の実在を否定することで、その迷妄を断ち切り、ひたすら空を観じればあらゆる心配や悩みの元となる執着から解放され平安が得られる。
ちなみに、八不(はちふ、はっぷ)とは、「不生、不滅、不断、不常、不一、不異、不去、不来」の八つの不、という意味である。

●第八住心 一通無為心(いちどうむいしん)

「一如本浄にして、境智倶に融ず。この心性を知るを、号して遮那という」
いちじょほんじょうにして、きょうちぐにゆうず。このしんしょうをしるを、ごうしてしゃなという

・・現象はすべて清浄であって、認識における主観も客観もともに合一している。そのような心の本性を知るものを、仏(大日如来)という。
人間は本来仏である。心は清らかであり、外にもなく内にもなく、その中間にもない。心は欲の世界のものでもなく物の世界のものでもなく精神世界のものでもない。
心そのままが、真実世界の心と同じである。

●第九住心 極無自性心(ごくむじしょうしん)

「水は自性なし、風に遇うてすなわち波たつ。法界は極にあらず、警を蒙って忽ちに進む」
みずはじしょうなし、かぜにおうてすなわちなみたつ。ほうかいはきょくにあらず、いましめをこうむってたちまちにすすむ

・・水はそれ自体定まった性はない。風にあたって波が立つだけ。さとりの世界は、この段階が究極ではないという戒めによって、さらに進むものである。
仏は、空の悟り(無為)がまだ究極ではないことをさとす。宇宙のなかの全ては互いに交じり合いながら流動していることを悟る境地。
一人一人の心が、仏と何も変わらず、同一のものであると悟る。一つ一つの心が互いに溶け合っている。

●第十住心 秘密荘厳心(ひみつそうごんしん)

「顕薬は塵を払い、真言、庫を開く。秘宝たちまちに陳して、万徳すなわち証す」
けんやくはちりをはらい、しんごん、くらをひらく。ひほうたちまちにちんして、ばんとくすなわちしょうす

・・密教以外の一般仏教は塵を払うだけで、真言密教は庫の扉を開く。
そこで庫の中の宝はたちまちに現れて、あらゆる価値が実現されるのである。「マンダラ」の段階(真言宗)。
ここに至って万物は真実のあらわれとして、大きな歓びをもって万人の知、情、意に受けとめられる。真言秘密の境地。
言語、分別を超えた境地である故に「秘密」と云う。大日如来(だいにちにょらい)と自己が一体化した究極の境地。

●これらを解説してくださった松村寧雄先生(マンダラ手帳開発者)によれば、「第四住心」から上が仏教の教えだという。

天台宗の教えが分かると第八住心、華厳宗が分かると第九住心、真言宗が分かってはじめて第十住心に到るというあたり、空海(真言宗)の手前味噌に思えなくもないが、説得力は十分だ。

●冒頭のS社長と同じく、私もまだ「第二住心」にいるような気がする。まだまだ心の修行が足りないと思い知った。

蛇足ながら、私も空海にあやかって、「社長の十住心」を作ってみたくなった。

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