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大人三人合宿

7月12日(日)午前8時20分。約束より少し早いが、名古屋駅の金の時計台下に行ってみると、すでにお二人は待っておられた。お二人のことだから遅刻する心配はないが、まさか15分前から待っておられるとは案の定というべきか、さすがというべきか。忙しい人は他人より時計の時刻が早くセットされているのだろうか。今回の旅のお相手は、和僑会の筒井修ファウンダー(72)と日本初の通販専門コンサルタントの白川博先生(70)である。

筒井さんの「たまにはゆっくり語りあおうじゃないか」と言う発案で福地温泉に来た。この温泉郷はお湯よし、料理よし、宿よし、環境よし、と何拍子も揃った宿が多い。

ワイドビューひだで名古屋から高山まで2時間10分。「今日は議論したいテーマがいくつかあります」と白川さん。「ま、そういうのは宿についてからでいいじゃないか。それより大連の話をしよう」と最近開催された大連和僑会の話がはじまった。奇しくも今日の日本経済新聞にその記事が載っているというので私がもっていた新聞を広げると、こんな記事が載っていた。

日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO89215810S5A710C1CR8000/

「恐縮なのですが、高山に着くまでは仕事させてください」と私。前日、わき腹を痛めて寝こんでしまい、原稿執筆が遅れていた。「いいよ、高山に着くまでにできるの?」と筒井さん。「ええ、2時間ありますからバッチリです」と答えたものの、お二人の話がおもしろく高山に着いても未完成だった。

高山で昼食をとり市内を散策したが、好天に恵まれ真夏の日差しである。「武沢さん、この天気はなんとかならないのかね。ここは飛騨だろう」と汗かきの筒井さんの顔面は汗だらけ。

そんな暑さもあってか、散策を早めに切り上げてクーラーの効いた喫茶店に入った。「僕はアイスコーヒー」「私はハイボール」とめいめいに飲み物を頼み、私は座席で原稿を仕上げた。

高山からバスで80分、今日の目的地の「福地温泉」に着いた。風呂に入る前にメルマガ読者にメッセージを下さい、とお願いした。

筒井さんいわく、自分の人生のことは、他人に相談する前に自分で深く考えること。考えて考えて考え抜いて決めたあとは、もう委細迷わず、行動、行動、行動する。それで生まれたいかなる結果についても後悔はしない。なぜなら自分で考え、行動した結果なのだから。そういう意味で成功の反対は失敗ではなく「無為」。失敗は予定どおりにならなかっただけのことなので、それを肥やしにすればよい。むしろ肥やしを得るために若いうちはどんどん恥をかこう。常識的な人たちから笑われることや常識人からバカにされることを恐れていては絶対に恥はかけない

白川さんいわく、僕は今の自分が一番若いということをいつも考えている。それを認識して行動すること。成功という言葉がいっとき流行したが、僕の辞書に成功という言葉はないし、そんなの過去の言葉である。そんな相対的な言葉に左右されない生き方をしたい。

僕にかぎっていえば、50歳での起業は成功失敗なんていうものを意識した活動ではなかった。むしろそれらの言葉に興味を失った段階から自分自身の本当の人生が始まったように思う。これは僕流の言葉の定義なので、各人はそれぞれ自分なりの言葉でそうしたことの定義をしておくことが人生の生き方を明確にするのに役立つと思う。

「ありがとうございました。夕食にはまだ2時間ありますからまず風呂に浸かりましょうか」と私。貸切露天風呂に向かった。

下足箱で下駄を一番下に置きながら、「武沢さん、僕はどこへ行っても履き物は一番下に置くようにしている」という。
「なにか意味があるのですか」
「ある大手通販会社が経営不振から買収されることになった。その会社には僕も時々出入りしていたが、社長がカリスマのような存在だった。社員も来客も入り口の下足箱にくつを入れてスリッパで館内を歩く。その下足箱の一番上が社長専用で次に役員、そして社員という序列があり我々のような客人は一番下だった。下足箱の序列が会社のホンネだよ。社長が一番えらくてお客が一番下。案の定その会社は破綻したが、僕はその教訓から、いつも一番下の立場なんだと自分を言い聞かすために下足箱でも何でも一番下にしている」

さて、このあとお酒が入る夕食会。いったいどうなるのだろう。