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人狼とミツバチと降雨量の関係

「人狼」(じんろう)というゲームがある。プレイヤーはまずカードを引くことで「市民」か「人狼」かに分けられる。自分の正体がばれないように他のプレイヤーと会話し、互いの正体を探りあう。目的は「人狼」が誰なのかを当てることで、「市民」は結束して「人狼」を探し当てないと負けてしまう。

「どうも親父の挙動がアヤシイ」二人の息子からルール説明を聞き、私と家内の四人でゲームをした。毎回私だけが不当に「人狼」の扱いを受け、その都度ゲームにやぶれ続けた。私があれだけ「お父さんはれっきとした市民だ!」と声高にアピールしているのに…。

偏見や思い込みで私を見るようになると、すべての言動が怪しく感じるらしい。その結果、おとなしい「市民」の仮面をかぶった「人狼」が勝利する。それが息子だったり、家内だったりするわけで、多少、人間不信になるが大人のゲームなのだから、それくらいの演技は許すことにしよう。私だって何度「人狼」としてか弱い「市民」を欺いたことか。

なにかの拍子で間違った知識や情報を信じ込んでしまうことを「誤解」という。先週末の TV トーク番組をみるまで私は、ミツバチの働きバチはずっとオスだと思い込んできた。しかし、あれはメスらしい。これもひとつの誤解である。

私の無知を笑ったあなたにクイズをお出ししたい。なんとなくイメージでそう思ってしまい、よく調べずに間違ったことを信じることを「偏見」という。あなた自身が偏見を持っていないかどうかチェックする簡単なクイズがこちら。

一年で最も降雨量が多いのは何月か?また、もっとも降雨量が少ないのは何月か?

「○月」という答えをメモ用紙に書いたら、自信のほどが何パーセントあるか「○○%の自信」とメモを書き添えよう。それがあなたの偏見の証拠になるかもしれない。

正解を発表する前に、天気に関する諸情報(諸常識)を書いてみたい。

まず、5月や9月、10月は「五月晴れ」「秋晴れ」という言葉があるように、さわやかに晴れわたることが多い。6月、7月は「梅雨」にあたるため、かなり高い確率で雨が降る。12月、1月、2月はときどき雪が降るが、それが降雨量に換算されたときどの程度のものになるかは微妙だ。今年の4月は異常に雨が多かったが、例年はそれほど多くないはずだ。8月、9月、10月は台風シーズンで局地的に大雨が降るが、降らない日はセミの鳴き声がうっとうしいぐらいに熱く晴れわたる。

ちなみに降雨量が最も少ない月に比べ、多い月は4倍ほども降る。では正解を発表したい。

それは「9月」である。
以下の数値は東京で1981年から2010年までの30年間に降った雨の合計値である。2位は「10月」だ。

1位:  9月(209.9 m/m)
2位:  10月(197.8 m/m)
3位:  8月(168.2 m/m)
4位:  6月(167.7 m/m)
5位:  7月(153.5 m/m)
6位:  5月(137.8 m/m)
7位:  4月(124.5 m/m)
8位:  3月(117.5 m/m)
9位:  11月( 92.5 m/m)
10位:  2月( 56.1 m/m)
11位:  1月( 52.3 m/m)
12位:12月( 51.0 m/m)

気象庁各種データ
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4224

あなたの都道府県を調べたい場合は、こちらで選択しよう。
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4225

いかがだろう?あなたの偏見の度合いは。

これをみて分かることは、梅雨の6月、7月の降雨量は意外にも4位、5位でしかないということ。雨量だけでみれば、夏場に貯め込んだ水蒸気が一気に地上に環流される秋の方が多いというわけだ。

ただし、雲量(空の全天に占める雲の割合)のデータでみると、6月と7月は一年のうち1位と2位を占める。つまり梅雨時は雨量より雲量が多い月と見るべきなのだ。