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売上の極大化

エアコンが快適な室温に温度調整してくれるのは、サーモスタットが働いているから。そのおかげで、ある一定温度よりも上や下に行きすぎることがない。

サーモスタットには深く感謝しなければならないのだが、企業経営者の無意識にあるサーモスタットは、迷惑な存在だ。

受注が足りないとサーモスタットが作動し、受注が増えすぎても作動してしまう。
たしかに、忙しすぎても利益がでないし、ヒマすぎても利益がでない。
一番良いのは、ほどほどの忙しさが一年中続くことなのだが、現実問題として、ほどほどが続くことは滅多にない。たえずどちらかに片寄りがちなもの。

経営者の中には、営業と製造の部門長に「ほどほど」の成果を期待してしまう人がいるが、狙うのは「ほどほど」ではなく、「極大化」であるべきだろう。

営業には「売上の極大化」を期待し、製造には「製造の極大化」を期待しよう。それが経営者の仕事だ。

ある日、友人と名古屋で超人気の串カツ屋に行った。

雨の日、傘を差しながらでも外で食べた。17時の開店と同時に店内はお客で埋め尽くされていたため、18時の段階ではすでに外で食べるしかなかった。
あまりに混雑しているため、注文するこちらも遠慮がちになるが、待っていてはいつまでたっても食べられそうもない。

「すいません、味噌カツ5本、ソースカツ5本。あと瓶ビール1本」と店頭でカツを揚げているイカツイ顔の男性スタッフに頼んだ。
彼はなにも反応しない。
もう一度、大きめの声で頼むと、奥にいる女性スタッフに向かって、「おい、お客さん」というだけ。
彼は、相当怒り顔で、「もううんざりだ」という顔をしている。たまたま今日、不愉快な出来事があったというならやむを得ないが、以前に一度来たときも彼はそうだった。

この串カツ屋は、味の良さと値段の安さと立地の良さで勝っているが、いつか誰かに負ける日がくるだろう。
なぜなら、お客が居て当然だと思っているからだ。

できるものならよそで食べたいと私も思う。だが、ここの串カツにかなう相手が今のところいないから来ているだけだ。

それほど我慢しているのだが、彼の態度をバカにできないとも思う。

それに近いことを我々もやりがちだからだ。

ある一定以上に受注が入ってくるようになると、「しばらくは新規受注はいらない。消化するので精一杯だから」と考えるようになる。
それだけなら良いが、営業部門に対して、「安易な受注をするなよ、少しは製造部門の状況を考えた受注をしろ!」と叱りつけたりもする。

だが、営業部門の仕事は売上の極大化だ。売上の調整ではない。
そして、製造部門の仕事は製造の極大化だ。製造の調整ではない。

営業と製造の上に立って、全体の調整を行うのが経営者の仕事なのだ。
調整弁の役割をそれぞれの部門長に負わすことは大変危険である。

「受注して受注して受注しまくれ!」と営業に言おう。
「作って作って作りまくれ!」と製造に言おう。

「ほどほどに稼働しよう!」などと中途半端なことは言ってはならない。
「受注の極大化と製造の極大化」を目指すのが攻撃的企業のマインドなのだ。