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Tさんの決断

東証一部上場企業の主力オフィスの支社長をされていたTさん(41)が、ある青年から教材を買った。
成功するために必要な目標設定とモティベーションマネジメントを自分で行えるようにするこの教材の内容にいたく感動したTさんは、この教材を毎日熱心に使った。

セールスした青年が時々Tさんを訪ねてくる。要するにフォローアップを兼ねた紹介者獲得なのだが、車で一時間もかけて来てくれるのでTさんも感心していた。

教材を使い始めて半年した頃だろうか、Tさんは青年に妙な質問をし始める。

・「この仕事は楽しいですか?」
・「お客さんを作るのは大変ですか?」
・「お客さんの反応はどうですか?」
・「この仕事は一生続けるおつもりですか?」

青年は目を輝かせながら、すべてに肯定的な返答をした。
「フルコミッション(完全歩合制)なのでモティベーション管理は大変だ」と青年は言うが、だからこそこの教材が必要なのだろうとTさんは思った。

それから更に1~2ヶ月たったある日、Tさんは青年に向かってこう切り出す。
「社長さんに会わせてください」

青年は、「もちろん喜んで」と即答したが念のために要件を聞くと、「あなたの仕事を私もしてみたい」

青年はビックリした。なぜなら、Tさんはれっきとした一部上場会社のエリート幹部なのだ。

安定を捨て、保証を捨て、世間体を捨て、家族の不安を説き伏せてTさんは、自分の仕事を「使命感」と「生き甲斐」で選ぼうとしているのだ。

二ヶ月後、Tさんは青年と同じオフィスで仕事をしていた。

「ミスター勤務習慣」と周囲から畏敬の念で陰口されるほど、Tさんは朝から晩まで一心不乱に仕事した。
黒澤映画の「生きる」の主人公のように、なにかに取りつかれたように仕事に邁進した。

あれから時は流れた。22年経過した今年、Tさんは還暦をとうに過ぎた。
上場会社の同期生たちはリストラで早期退職したり、定年を迎えたりしているが、Tさんは一生を貫く仕事に出会えた喜びを今も感じながら大阪を中心に活動されている。

文中の青年とは私のことだ。Tさんにセールスできたこと、Tさんを一生懸命フォローしたことを誇りに思っている。

明日は、Tさんのメルマガをご紹介したい。