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続・ある女性セールス

昨日の続き。

私のセミナーに参加されたひとりの女性は、Facebook でアポを取り私にプレゼンすべく名古屋までこられた。その行動力は見上げたものだが、アポの取り方を間違えていた。

・私のビジネスの構想を聞いていただきたい
・武沢さんのお考えを伺いたい

といった知恵を求めるかのようなアポの取り方である。彼女はセミナー受講者でもあるから無碍にお断りするわけにもいかない。彼女のために私は時間を割くことにした。

ところがお会いしてみると上司を伴っての商品説明、ビジネス勧誘のような雲行きである。「それは話が違います」と手短に席を立つ羽目になったわけだが、それでは、彼女は私に商品を売る可能性が最初から絶無だったかというとそうでもない。実は私に商品購入させる武器を彼女は手にしていたのだ。だが彼女はそれに気づかず、いや、準備すらせずに名古屋に来た可能性がある。

私ならこう準備し、こう売る。

武沢は分かりやすい人間である。メルマガや Facebook、ブログなどでかなりいろんなことを公開しているからだ。それをチェックしていくと、頻繁に減量に取り組んでいることが分かる。しかも昨年10月から11月にかけては、高血圧と貧血を理由に夜のネオン街で倒れ、救急車で緊急搬送されたことが記事に載っている。倒れたとき右顔面を道路に打ちつけ、右目を眼底出血して視力をかなり奪われたことも書いてある。

つまり今の武沢は、血圧を下げることや血液をサラサラにすることや、視力を回復させることが健康上の至上命題になっていることが分かる。まずはそうした話題から入っていく。

人は商品ではなく「得られるゴリヤク」を買う。または「避けられる損失」を買う。自分が得られるゴリヤクが手に入りそうな情報や商品があれば自らさがしてでも手に入れたいのが人間だ。

「なるほど、そういうことでしたか。武沢さん、ひょっとして今武沢さんがお探しのものに対する最高の答えが、このドリンクである可能性が高いです。なぜならこのドリンクに含まれる成分の……」そんなプレゼンをされたら、私の上半身は45度に傾いていただろう。

彼女の健康ドリンクがファスティングに最適であることや、血液サラサラに効果甚大であることを訴求する。さらには、視力や疲労の回復に効果が高いといわれる成分が多量に含まれていることから一本のドリンクのコストパフォーマンスが非常に高いことを訴える。そして、まずは3ヶ月黙って飲み続け、身体や体調の変化を感じとっていただきたいと提案する。

横にいたXさんが語ってくれた他社製品との比較やネットワークビジネスがいかに合理的なビジネスで、尚かつ将来性が高い仕事なのか、といった話はまったく私の心には届いていなかった。

相手の関心がどこにあるのか分からない。初対面の相手なら尚更である。だからいろんな話題を振って相手の関心を見極める必要がある。私のようにすべての話題にひととおり関心があるかのように聞く人間もいるが、内心ではこちらも相手を見極めようと計っているのである。「ふんふん」という相づちだけを拠り所にしてはならない。

よって結論:

・アポを取るときはフェアに。
・アポが取れたら相手を動かすツボをさがす準備をする。それはネットにアップされている可能性が高い。
・相手が得られる利益は何かを語り、その手段として自社製品を語る。
・相手の反応を鵜呑みにせず、相手の本質的な関心事項だけにしぼってセールスの会話の中心に据えつづける。