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お金の支払いに姿勢が出る

毎年この時期は講演依頼が増える。

招かれる先は、金融機関が主催する勉強会や公的機関の経営講座など、たくさんの集まりがある。いずれも、地域の企業がよくなってほしいという情熱を感じるのだが、仕事のやり方にはいろいろな流儀がある。

そんな中にあって、ちょっとご遠慮願いたいなと思っていることがある。この際、率直に告白しておく。

それは、

・開演前の長話
講師控え室に責任者が表れ、開演直前まで講師を解放してくれない。
講師に情報を与えよう、盛り上げよう、などと気づかってくれているのかも知れないが、この時間帯は講師が最もナーバスになる時間であり、一人になって心を整理したい時間なのである。

・講演料や交通費が後日精算
先払い・当日払い・後払いの三種類あるが、万難を排して当日払いか先払いにされた方がよい。
かつて「月末締めの60日後支払い」という打診を受けたが、それだけの理由で引き受けるのを辞退したくなった。決済サイトに組織の姿勢が表れるのだ。

外部講師に支払う謝礼は、通常の仕入れや経費の支払いとはまったく別の基準をもたねばならない。現金支払いにすべきだと思うのだ。
意外と多くの組織が、他の支払いと同じ基準を外部講師に対してまで当てはめようとしている。
先日もA県とB県、相次いで招かれて社長講座を引き受けたが、A県では当日の現金精算、B県は末締めの翌末支払いだという。国の予算を使って同じ主旨で運営されている社長講座なのだが、それとて組織のルールは違うのだ。

講師としては講演料の決済のことでいちいち目くじらを立てたくはないが、内心では、「Aとは積極的にお付き合いしたいが、Bの仕事はやりたくない」というような無意識の評価を行っているものだ。

『「人たらし」のブラック心理術』(内藤誼人著、大和書房)の中にこんな例がでてくる。

ある調査機関が「健康に関する調査の一環」として2147名の医者にアンケートを郵送した。謝礼として20ドル(2,400円)を同封して郵送する場合と、「協力してくれたらあとで20ドルお渡しします」という条件とで返信率の違いを比較したという。

その結果、先に現金を同封した場合には78%の医者がアンケートに協力したのに対し、約束だけした場合には66%しか返信がなかったという。

「人たらし」のブラック心理術―初対面で100%好感を持たせる方法
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4479770798/

人をその気にさせる基本は金払いを良くすることだ。

講演前に銀行口座振込してこられるケースもあるが、それではありがたみが薄くなる。当日、講演前に講師に直接現金支払いするのが一番効く。講演後よりも講演前が断然良い。

今日は私のワガママを伝えようという主旨ではない。
講師に敬意を払い、なおかつ講師を乗せるための条件を書いているのだ。「講演開催・裏マニュアル」でもある。

蛇足になるが、講師だけでなく部下を乗せるのも基本は同じ。払うと決めてあるお金は、早く、スパッと感謝の言葉を添えて支払う。

冬の賞与が近づいてきたが、年末ギリギリではなく早めに払ってしまおう。
「いつ支払うと社員にとって有り難みが強いか?」などと姑息な考えをしないことである。

いかがだろうか。