15年前、絶世の美女だったころの写真を見せるA子。
「うわぁキレイ」「この子、誰?」などと周囲を騒がせるつつも、内心では、色気が失せてしまった今の自分に嫌気がさしていた。
そんなA子に向かって江角マキコが放ったセリフが冒頭の言葉。
やがてA子は変身する。変身したA子に求婚者が・・、というハッピーエンド。
ビジネスだってA子と同じだ。いつまでたっても「現役」が求められる。社長とか部長、課長といった企業内の役職は名誉職ではなく、現役職である。現役とは今の自分で勝負できる人を言う。過去の功績や恩賞の結果としてもらっているのは俸禄(年収)くらいで、役職は社内で今もっともふさわしい人が就かねばならない。
現役ばかりの集団、それが会社だ。
そのためには、本人も会社も力を磨くための費用と時間を確保し、計画的に経験と学習を付与していこう。
何年か前の統計値だが、日本企業が使う研修費用は、社員一人あたり年間で数千円というデータがあった。
「年間教育費がたったの数千円?」と驚く方も多いと思うが、この統計数字には、従業員数が何万人もいるような大企業の製造ラインで働く人たちも含まれている。
したがって、これからドンドン成長しようという中小企業の場合は、もっと多額の教育費用が必要になる。
私が以前に勤務していたスポーツ用品専門の小売店は、経営目標として「株式公開企業目指して急成長する。そのためには、人材の成長スピードがどの同業者よりも高い会社になる」という方針を打ち出した。
そのためにもっとも注力したことが社員教育だったのだ。この会社では、まず社員一人あたりの年間教育予算を20万円と定めた。その当時、社員数が100人ほどの会社だったので2,000万円の教育費用を予算化した。
そしてそれを一年かけてきっちりと使い切るための計画作成を行った。
鍵を握るのは店長クラスの人材を短期間で育成すること。まさしく人材の促成栽培である。同業他社が10年かけて店長になれるかどうかというペースの中、その会社では3年で店長になっていく。そのための知識や技術、あるいは心構えといったものを猛スピードでマスターできる人材にとっては、若くして責任者になれるので大変楽しい職場だった。
その反動も二つほどあった。ひとつは、日常業務への支障だ。研修のために若手社員が東京や大阪へ研修のために出張する。ふだんでも忙しい現場なのに、研修で二日も三日も職場を不在にすると、困るのは現場だ。
だが、そんなときこそトップの信念が必要になる。その会社では、社長が社内報に「教育は日常業務よりも優先する」という方針をハッキリと打ち出したことで、現場からの不平や不満も出なくなった。
もうひとつは、研修のハードさに耐えられなくて退職していく社員も多かったことだ。
日常業務の忙しさ+研修参加+研修参加レポート提出、という厳しいハードルを20才代の若いうちに乗り越えておくと、やがて30才代以上になったときでもムリがきく。
若いうちにこうしたタフさを経験せず、甘やかされた環境で育つと人生の勝負所でもムリが効かず弱い人材になってしまう。
現役でいつづけるためには、社員と会社のギリギリ真剣勝負が必要なのだ。
・あなたの会社では役職者が現役ですか?
・現役でいつづけてくれるために、会社は適切な経験投資、教育投資をしていますか?