「我々はこんなにも素晴らしい未来を実現しようとしているのですよ」ということを聞き手の視覚に訴えるように話すことは大切なことだ。
だがそれだけでは不十分なときがある。
「我々が努力を怠れば、こんなひどいストーリーの未来になるかもしれません」ということも視覚に訴えて話せるようにしておこう。
そう思わせられるような出来事があった。
先週後半、百式の田口さんと愛・地球博を見に行った。田口さんは「僕のなかで日立株がグーンと上がった。よくコンテンツが作り込まれている」と日立館を一位にあげたのだが、それに次いだのが「三菱未来館」だった。
私もほぼ同感なのだが、その理由が「仮説の映像化」の巧みさだ。
もし月がなかったら・・・という設定の三菱未来館。
・・・
月のない地球は、自転速度がいまの地球よりずっと速くなり、1日は8時間となる。強風が絶えず荒れ狂い、最高風速は30Kmまでになる。
高山も存在せず、生命の進化も遅い。いまのような人類の存在は困難だ。それを映像にすると、このような光景になる
・・・
それを見せてくれるのが「三菱未来館」なのだ。
人が住めそうもない程とげとげしい映像を見ていると、こんな地球は絶対いやだ、住みたくない、という気になる。
「もう見たくない」と思った瞬間に映像はストップし、今の地球の穏やかな映像がながれだす。月があるおかげで今の地球があるということを知る。
「あんなひどい地球は見たくない」という思いが月に感謝することになり、おのずと今の地球に感謝することにもなる。
この原理、経営に応用できるはずだ。