私の記憶が正しければ、太陽商事の筒井社長は約束に遅れたことが一度もない。それどころか、いつも私より先に待ち合わせ場所に到着している。
ある時、筒井さんと午後6時にホテルのロビーで待ち合わせした。私はその日に読み進めたい本があったのですこし早めの5時半にロビーに到着し、おもむろにコーヒーを頼もうとしたところ、となりの席で読書していたのが筒井さんだったこともある。
その心を尋ねると、「私は約束の時間に遅れて恐縮して話題に入るのが嫌なの。遅れると相手の人に失礼になるだけじゃなくて、自分に嫌気がさしてくるでしょう。その時点でもう負けですよ」と返ってきた。6
早めに約束場所へ行って読書して相手を待つ、なるほど合理的だ。
【今日の言葉】にあるように他人が期待するより高い基準で責任を負っている好例ではないだろうか。
『筒井式待ち伏せ読書』とでも命名したくなるほど、この方法は意義深い。仮に毎月40回の待ち合わせがあるとして、一回平均30分の待ち伏せ読書をすれば、20時間も読書時間が確保できる。たったそれだけで、必要な読書時間はほぼ確保できてしまうのだ。
さらに言えば、面会の約束を守るということは、時間を守ることだけではない。
面談の時間内で相手もこちらも満足する時間を過ごせることが大切だ。
男女のカップルならば、一緒にいるだけで嬉しいものだろうが、ビジネスの面談では、何らかの目的がこのミーティグ時間にこめられているはず。
・相談したいことがある
・情報がほしい、あげたい
・話を聞きたい
・話を聞いてほしい
・刺激がほしい
・目標や夢を語り合いたい
・・・etc.
目的は何なのかを事前に明確にしておこう。そして、相手もこちらもミーティングの目的を共有し、「式次第」をもって時間を過ごそう。
約束時間の5分、10分を守ることも大切だが、そもそも約束時間全体の1~2時間のパフォーマンスを尊重することがさらに大切なのだ。