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続・10万人突破、更に伸びるプレビ

昨日に引き続き、メールマガジン『プレジデントビジョン』(以下プレビ)の躍進の裏側をさぐっていきたい。まずは、これまでの『プレビ』の奇跡の軌跡から。

・2003年5月 創刊 ・・「がんばれ社長!」に広告、武沢に「1年で
           3万人集める」と宣言。実績は1年で4万人。
・2004年1月 月間広告収入が50万円に到達
・2004年12月   〃   300万円弱に到る・・1年で広告収入が6倍
・2005年1月 読者数10万人到達

メルマガ発行の楽屋裏は大変だ。

・取材のアポ取り
・インタヴュー予定の社長の下調べ(著書、他誌掲載記事の読み込み)
・取材(カメラ、ビデオ、照明、録音、対話)
・テープ起こしと原稿作成、取材者に対する原稿確認
・登場社長からのプレゼント企画がある場合は告知、抽選、発送
・増永さん自身のコラム書き(ネタのベースを作るための読書)、ブログ
・広告主集めと広告原稿・広告素材の確認
・画像や動画の編集
・HTMLを使ったメルマガ作りと配信
・広告主や取材者に対する配信報告、レポート
・『プレビ』自体の読者集め活動

これが週三回配信という高速ペースで続く。これを創刊号から半年間は増永さん一人でこなしてきた。最近ようやく秘書の歌崎さんと営業の石井さんとの三人体制となり、相当システマチックになったという。

『プレビ』自身のビジョンについて、増永さんはこう語る。

「会社に事業計画があるように、メルマガにも計画があります。20万人という読者数はすでに現実的な数字として予定に入っていますし、広告収入も年内には月間500万円体制にもっていきます」

月間500万円の広告売上げとはすごい数字だが、彼の口ぶりからは、もっと大きい数字を目標にしているように思えた。

さて、『プレビ』に登場する経営者は、「笑っていいとも」のテレフォンショッキングみたく、友だちが友だちを紹介してくれるシステムだ。
だから「私を取材してくれ」と頼み込んでも基本的にはムリらしい。
しかも一人の登場人物から複数の紹介をもらうので、次々に回るべき相手が増えてくる。最近は、上場企業の若手経営者を中心にして「時の人」が何人も登場し、内容的にもノリに乗っている。

それを可能にしているのは、『プレビ』が認知されたメディアであり、たくさんの読者を有しているというメディアパワーにあるのだろう。登場社長からは一切お金を取っていない上に「10万人に配信されます」というのだから取材される側にも大きな魅力がある。

増永さんのメルマガに対する持論のひとつは「数は力なり」。仮にメルマガを有料にすれば課金した分の売り上げは入ってくるが、読者数は今より大きく減るだろう。読者が少ないメルマガでは、登場してくれる社長にとっても魅力がない。たくさんの人に読んでもらえないから、登場したことによる反響もなく、メディアパワーが小さくなってしまう。やがてインタヴュー相手そのものもどんどん先細りになっていくし、活性化していないメルマガには広告も入らなくなる。

彼が「目標読者数」を常に意識し、数にこだわる理由はこのメディアパワーのためだ。

ところが、彼の「読者数」へのこだわりは、単にパワーが「大きい」ということだけでない。“継続してパワーが大きくなり続ける”という点にも注目しているところがユニークなのだ。今の読者数が多いというだけでなく、最近どれだけ伸びているかにこだわっているのだ。

彼にその理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「広告モデルを作りたいというメルマガの場合、読者が増えなければ、やがて精読率も広告クリック率も確実に減少していきます。その事は、発行者の方は知っていると思うのですが、読者数の伸び悩みという現実に直面したとき、多くのメルマガ発行者は手をこまねいるだけ。読者数が増えていなければ、広告効果が確実に下降していくので、リピート出稿につながりません。そこに読者数が継続して増えないメルマガ発行者の壁があります」

ではどうしたら良いだろう。

『プレビ』の場合、創刊以来「最速」でNo.1になることを目指して邁進してきたという。それもできるだけ速く。
たしかに広告はNo.1の媒体に集まりやすい。まっさきに予算が割りふられ、最後まで残されるのがNo.1の媒体である。結局のところ、No.1の媒体には確実に広告が入り、不況になっても一番影響を受けにくいということを広告事業を経験している増永さんは知悉していた。

何かの分野でNo.1のメルマガになろう。そのためには、経費を使ってでもメルマガ読者を増やそうと考えることが大切かもしれない。なかなか従来にはなかった発想だが、メルマガも普通の商品と同じように、いや、それ以上に戦略的な“商品”だという考えだ。
だから広告宣伝費をドンドン使ってでも読者を集める。事実、『プレビ』は創刊時から広告費を投じてきた。
「がんばれ社長!」にも出稿してくれたが、最も広告費を投入した相手は「まぐまぐ」だという。

広告収益を上げようというメルマガの今後について増永さんに尋ねた。

「メルマガを取り巻く環境は最近大きく変わりました。まぐまぐにメルマガ登録しておけば自動的に読者が増えていくという時代はもう終わりました。これからは、メルマガの中味だけなく、読者集めの競争でもあります。つまり知恵の勝負なのですが、同時に経費も使うべきでしょう。広告を出せないとか、広告を出そうと思わないメルマガ作者では、今後立ちゆかなくなるでしょう。ただ厳しいというだけでもありません。広告業界にも身をおく者として言いますが、読者をきっちりと増やし続けることができるメルマガは、今後、広告媒体という観点からみても、とても魅力的な存在になると思っています」


最後になるが、実は増永社長率いる株式会社ライブレボリューションという会社も、今急成長中のベンチャー企業なのだ。

・社員数 2004年1月 16名 → 2004年12月 40名
・資本金  〃   5千万円→   〃  1億7千万円
・時価総額     2800万円→   〃   約40億円
 (時価総額は潜在株を含み、株価は約80倍で増資をした)
・売上高  未公表ながら、今年一年で3倍に成長予定
・株式公開予定 2007年

彼自身は大和証券出身、且つ5名の常勤役員中4名が大手証券会社出身という金融に詳しい経営者・経営陣でもある。この会社のファイナンス能力も、メルマガ読者獲得能力に負けず劣らず高い。

現在のところ、同社が提供するサービス部門は三つある。

・「インターネット広告代理サービス」
・「インターネットメディア『プレジデントビジョン』サービス」
・「転職サイト『エントリーライン』サービス」

創刊から短期間にもかかわらず、今や「プレビを見てメルマガの発行を決意しました」「プレビをお手本にメルマガ作りをしています」といわれるほどの存在にまで成長したプレジデントビジョン。

「プレビはまだまだ進化する」と自信を見せる増永さんと同社の今後が楽しみだ。

プレジデントビジョン 
http://www.president-vision.com/a.php?adexid=201