8月9日(土)午前 10時、名古屋駅。
いつものように新幹線の券売機に行くと、かつて見たことがないような長蛇の列が出来ていた。あれ、もう帰省ラッシュ?と思ったが、台風の影響によるものらしい。私鉄の一部が運休し、名古屋から関西に向かう人たちが一斉に新幹線に押しかけたようだ。不慣れな券売機にとまどう人たちが多く列がなかなか進まない。東京行きのチケットを一枚買うために新幹線を 2~3本やり過ごすことになってしまった。チケットシステムというものの不条理を感じるが、こんなときは文庫本でも読んで気を紛らわそう。
◇教訓1.台風の時はダイヤも駅も混乱しがち。早めに出発せよ。
◇教訓2.券売機に並ぶときは、列の長さよりも列に並んでいる人を見よ。
幸い早めに家を出てきたので 13時からの会議には間に合いそうだが、虎ノ門ヒルズでステーキを食べるという楽しみは断念し、駅弁を買った。車両に乗り込むと、上りの列車は空いている。席に座って『空海の風景』(司馬遼太郎)を読み始めた。冒頭の難解な箇所で何度も居眠りしたが、忍耐力を発揮し、数十ページを超えたあたりから作者の調子が上がりはじめ、新横浜の駅を超えるころ俄然、面白くなってきた。
◇教訓3.出足がつまらなくても、名作は我慢して読み進めよ。
東京駅から新橋駅までは山手線で移動し、烏森口から虎ノ門のクローバ経営研究所さんまでは歩いた。名古屋は雨だが、東京は晴れていた。道中、見るからにあれが「虎ノ門ヒルズ」とわかる異様に大きな建物が目に飛びこんできた。このあたりの景色が一変してしまっている。これが虎ノ門ヒルズか、と思いながらも見物している余裕はない。建物の真横を抜けて黙々と歩き、クローバ経営に着くと、定刻 5分前の 12時55分だった。
マンダラチャートとマンダラ手帳を開発されたクローバ経営研究所の松村 寧雄先生の事務所にお邪魔するのは今年 2月以来。そのときは関東一円の大雪だった。「大雪の次は台風ですね」と冗談を言いながら、奥様に出していただいた冷たいお茶で一服。ご子息の剛志(たけし)さんと事務局の松岡さんが会議の準備を万端ととのえていてくださった。もうひとりの参加者、札幌の太田勝久先生(弁護士)は数分遅れるとのこと。
本来なら来週入荷する 2015年マンダラ手帳だが、松岡さんが気をきかせて今日に間に合わせて下さった。来年版のフルカラーラインナップの中から私はキャメルを選んだ。これで、2015年のマンダラ手帳を最初に買ったのは武沢である、という称号を得たはずだ。
手帳を買い求めたところで太田先生が到着され、会議が始まった。「マンダラチャート」をつかった作品を全国から集め、そのなかから優秀作品を選ぶという審査会である。
まずは 9月 27日(土)に開催される「マンダラチャートフェスティバル」の実行委員長でもある松村剛志さんから今年の開催要項が発表された。
今年は思いきって参加費用を引き下げ、さらにイベント時間を延長した。せっかく全国から集まっていただくマンダラファンのために、午前 10時から午後 6時まで存分にマンダラを学び、交流し、実践の知恵を得ていただこうという主旨である。私(武沢)も当日は「マンダラ Wish-List」についてお話しすることになっている。閉会後は懇親会も予定されているので、ご都合のつく方は東京のこちらの会場でお目にかかろう。
★マンダラチャートフェスティバル 2014
→ http://www.mandalachart.jp/2014/
作品審査はいつも以上に難航した。全国から力作ばかり 41作品集まり、その中から受賞作を 10本選ぶという作業は簡単ではない。満票を得て大賞に選ばれた作品は一つ。あとは、ほぼ満票という作品が八作品あり、ラスト一作品の選定をめぐって五つの作品が候補に残り、しのぎを削った。たがいに「この作品がこういう理由で良い」と譲らず、最終的には、松村先生の「どちらがマンダラチャートの使い方として基本に忠実かという点を重視したい」という視点で作品が選ばれた。
受賞者本人には、今後松岡さんから連絡が入る。
◇教訓4.迷ったら原点に立ち返ろう
会議中、アクシデントが起きた。
休憩中の雑談で私が Facebook アカウントが乗っ取られたことや、マンダラ学会理事の S 社長も私と同じ手口で被害にあったことをご報告した。世間では Facebook だけでなく、Line の ID を乗っ取って、友だち全員にコンビニでプリペイドカードを買うように頼む、なりすまし詐欺も後を絶たない、とお話し、松村先生も大いに驚いておられるときだった。
札幌の K さんからクローバ経営に電話が入った。対応した松岡さんは、「え、それは大変。すぐに太田先生に知らせます」と電話を切った。私の目の前におられる太田弁護士の Line が乗っ取られ、友だちのK さんに「コンビニに行って○○カードを買って欲しい」というメールが今届いたというのだ。「あ、僕にも来ています」と剛志さん。K さんは、松岡さんの Facebook 記事をみて、太田先生がクローバ経営にいることを知り、連絡をくれたのだった。
太田先生はすぐに iPhone で Line のアカウントを停止しようとしたが、ログインすらできない状態だった。まずは被害の拡大を防ぐため、先生はすぐに Facebook の友達 1,300人強にこんなメッセージを発信された。
「私の LINE が、何者かのハッカーに乗っ取られ、「プリベートを買って欲しい」などとの通知がなされました。誠に、遺憾です。直ちに、LINE のアカウントを解除いたします。ネット詐欺にご注意ください」
次に、iPhone の「サファリ」をつかって Line のホームページに入り、お問い合わせフォームから「自分のアカウントが盗まれた」という被害届を出し、アカウントを完全に停止した。
教訓5.Line や Facebook などで乗っ取り被害にあうのは、大半の場合、PW の使い回しが理由になっている。PW は 複雑 なものに変更しよう。
午後 5時半、会議を終えて全員で有楽町へ移動。「新日の基」で打ち上げを行った。太田先生の奥様も合流されて午後 9時まで大いに語り、愉快に飲んだ。ケネディ大使もここを気に入って二度も訪れたという店である。酒好き、魚好きにはたまらない予約必須の店。
★食べログ「新日の基」
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13006216/
この 10月、松村 寧雄先生はクローバ経営研究所の社長から会長になられる。そして、剛志さんが社長に就任されることが決まった。
「おめでとうございます。いよいよですね」と剛志さんに話しかけると、ご丁寧にも剛志さんは東京駅まで私を見送って下さった。考えてみたら、剛志さんと初めて品川駅で会ってマンダラ手帳を見せられたのが 2004年の秋である。あれから 10年経ったわけだ。
「へぇ、変わった手帳ですね」と思わず声が出てから 10年、手帳の広告がきっかけでご縁ができ、私がマンダラ手帳やマンダラチャートのファンになり、松村先生について行ってインドまで行き、こうして空海の小説まで読んでいる自分がいることに縁の不思議さを感じる。
新幹線が猛スピードで西に向かっている。いつしか雨が落ち、風が強くなっているのが分かった。
◇お知らせ
松村 寧雄先生も剛志さんも松岡さんも参加する「東海 マンダラ手帳を学ぶ会」 8月例会が名古屋で開催されます。私も参加します。ゲストスピーカーは札幌の「マンダラクィーン」佐藤幸枝さんです。彼女の手帳を直に見せてもらい、手帳術を語っていただくわけですが、こんな例会が 3,000円(税別)だなんて、相当お得だと思いませんか。
→ https://www.facebook.com/events/245219499010081/