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ネット評価で 3.1を目ざす経営、3.5以上を目ざす経営

夏バテ予防にうなぎが良いというわけで、うなぎ屋をいくつか物色した。会社の近所に一杯 4,000円の店と、2,000円の店と 1,000円の店があった。10日ほどかけて食べくらべてみた。どこのがうまいか、また行きたいと思ったか。かき氷でもそうした。一杯 250円のかき氷と 1,000円のかき氷。どちらの店でまた食べたいか。

一人の時と誰かと一緒というときの使い分けもあれば、時間の有無や気分による使い分けもあるだろう。どちらにしろ、選ばれる店になるためには、選ばれる理由がしっかりしていなければならない。

お客に選ばれるためのキーワードは、「コンビニエンス」か「ディスカウント」か、「スペシャル」である。かき氷でいえば、「コンビニエンス」(早い、便利)で時々利用する店は「S」である。会社から歩いて 20分、自転車でも 10分かかるが、待ち時間ゼロ、たった 250円で氷屋さんが作る本格的なホワホワかき氷にありつくことができる。昭和の中ごろ、子どものときに食べていたなつかしい味を思い出させてくれるので毎年何度か足を運ぶ。

一方、1時間の行列を覚悟して出向くかき氷屋が「A」である。こちらは 850円で天下無双(私の中で)の宇治ミルク金時アイスという完璧なかき氷を食すことができる。

ただし、こちらに新聞社によるかき氷ランキングがある。「A」は遺憾ながらこのランキングに入っていない。つまり、私が世間を知らないのか、ランキングに協力した専門家が無知なのか。そのいずれでもない、単に好みの問題なのか。その答えは、私が自分の足で店をまわって確認してみるしかなさそうだ。実はここにランキング入りしているなかの 2店はすでに訪れているが、私は「A」の圧勝とジャッジしている。

★かき氷全国ランキング
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO57387670W3A710C1000000/

話を進めよう。

「コンビニエンス」「ディスカウント」「スペシャル」という三つのキーワードでお客は店や会社を選んでいる。ランキングの上位にくる店や、食べログなどで高い点数をもらう店の大半は「スペシャル」で選ばれ、「ディスカント」「コンビニエンス」の要素はそれほど多くないはずだ。

その証拠に、日常で使っているカレー屋やうどん屋、そば屋、ハンバーガー屋は、ネットでどんな評価を得ているか?

たとえば、ハンバーガーチェーンや牛丼チェーン、カレーチェーンなどの食べログ評価は軒並み 3.0~ 3.1のあたりにかたまっている。つまり、評価は「ごく普通」なのである。総合評価は「普通」でも、特定の人が特定の状況になると必ずそこを利用する状況を作っているのだ。それが「コンビニエンス」か「ディスカウント」で勝負する店の戦略である。

逆説的にみれば、「コンビニエンス」や「ディスカウント」を売りにすると結果的にネットの評価は「普通」に落ち着く可能性が高くなる。一方、「スペシャル」を目ざそうと努力していると、評点 3.5以上の「すごい」店や会社を作ろうということになる。そんな店や会社にとって「3.0」前後の評価は死活問題となる。

「そこまでやってくれるの?」「こんなに美味いの?」とお客に言わせることができたら、必ず 3.5ポイント以上になり、値段勝負の世界から超越できる。比べるものが他にない、その状況になれば買わない理由が何もない、という状態を目ざそう。

今、トラックの過積載規制の強化で旬の北海道サンマや九州のレタスが入荷しないことが問題になっている。こんな時に北海道サンマやレタスを大量に積んで都会に持ち込めば言い値で品がさばけるはずだ。

それを江戸時代に命がけでやったのが「紀文」こと紀伊國屋文左衛門のみかん船である。何しろ 100万両貯めたというから、今の貨幣価値で 100億の財を成した。彼の場合は、みかんの需要がありながらみかんが一個もない江戸の街に紀州みかんを運ぶという「スペシャル」を売って成功した。

先週金曜日に放映された「たけしのニッポンのミカタ!」では、新宿で深夜まで営業している幾つかのお店を紹介していた。深夜営業の八百屋「新宿八百屋」、深夜まで働くクラブのオーナーやホステスたちのために、明け方まで空いている質屋をやれば繁盛するだろうというのが「かんてい局 歌舞伎町店」。同じ理由で午前 5時まで営業している歯医者が「あーす新宿歯科」。いずれも大繁盛している様子が放送された。同業者が休んでいる時間に開業することによって、ライバル不在の経営ができる。それは「コンビニエンス」に似ているが、紀文のみかんと同じで「スペシャル」なのである。

★「たけしのニッポンのミカタ!」 2014年 8月 1日(金)放送内容
『~眠らないニッポン!誰が来るのか 24時間営業の店~』
http://kakaku.com/tv/channel=12/programID=20530/episodeID=774434/

こうした視点であらためて今、なりたい会社(店舗)像を明確にしよう。