未分類

禅的生活

この世はオモシロイことがありすぎる。
世界で一番遊びが豊富にある国は、断トツで日本だ。娯楽や遊興の対象は尽きることをしらない。

豊富なテレビ番組や出版物、世界一のゲームソフトやコミック、DVD、ビデオ、映画、演劇、音楽、パチンコやアミューズ施設、オシャレな飲食店では世界中の料理やお酒が楽しめ、夜の酒場では朝まで大人の時間をすごすことができる。それに新手の風俗ビジネスが、私たちを日夜誘惑する。

サブカルチャーがこれほど充実している国は、世界広しといえども日本だけ。世界に冠たる娯楽大国といってよい。

それは幸せなことには違いない。だが、上手に自らを制御しないと「玩物喪志」になりかねない。
「玩物喪志」とは、中国の古典『書経』に出てくることば。
人を玩(もてあそ)べば徳を喪(うしな)い、物を玩べば志を喪う、という意味で使われる。
物ばかりでなく、遊興の手段が増えれば増えるほど、志を見失いがちになる。

そんな中、偶然か、それとも必然か。私の周辺では、ちょっとした禅ブームが起きている。シンプルな禅的生活へのあこがれがあるのかも知れない。

先月のある日、
「武沢さん、○月×日の早朝からお昼まであいてませんか?」という電話が入った。
要件をたずねると、経営者があつまって座禅を組みにいくという。そのときは、まったく興味がなかったので、即答で辞退した。

6月に入り、愛読紙のひとつ、月刊『歴史街道』を買ってびっくり。
『心が楽になる禅の言葉』なる特集タイトルが目に飛び込んできた。

「ほぉ、ここでも禅か」

栄西、道元、一休、良寛などの言葉を紹介しつつ、今を賢明に生きるヒントが特集されていてなかなか興味深く読んだ。

そして先週。今度はテレビで禅だ。

6月12日(土)放送のNHKスペシャル『永平寺 104歳の禅師』。曹洞宗の大本山・永平寺の第78代住職、宮崎奕保(みやざき・えきほ)禅師は今年104歳。「日々の生活一つ一つが修行」とする禅の教えを今も実践し続ける師を、永平寺の奥深くまで取材していて圧巻だった。
http://www.nhk.or.jp/special/libraly/04/l0006/l0612.html 

午前3時半に起床。朝40分、夜80分という座禅習慣を80年間以上にわたって守り通す宮崎禅師の姿は、すがすがしい緊張感があった。

ちなみに、永平寺では三泊四日の参禅修業を9千円で行ってくれる。その生活スタイルは3:30起床でまず座禅。
作務(掃除)と食事を間にはさみながら、午後9時の消灯まで座禅と作務三昧の三日間をすごす。

座禅を組むか組まないか、という問題ではない。現代に活きる私たちは、より賢明な経営者、より賢明な人間、より賢明な生き方をめざして、何らかの禅的生活が必要に思う。