目標から目を離してはいけない。心理的な意味でも物理的な意味でも“目標を見つづけること”が成果をあげるうえで重要だ。リーダーとは、そうした目標意識と勝利の予感に浸りきっている人のことを言う。
もちろん現実に目を向ければ問題だらけかもしれない。だが、問題を問題として放置してはならない。建設的な課題や目標に置き換えよう。そのためには、気分を高揚させるためのとっておきの時間を確保すること。
紙と鉛筆(またはノートパソコン)をもって喫茶店へ行く。そして、あれこれ思いを巡らし、指で「考える」のだ。紙と鉛筆をもたずに頭のなかだけでこね回すことは「思考」とは言わずに、「悩む」と言う。
リーダーは考えなければならない。考えるための最初のツールとして私が提唱しているのが「経営課題リスト」なるシンプルな書式だ。仕事に関することなら、何でも思いついた順番に箇条書きに書いていくだけのものだ。例をあげてみよう。
あいさつも満足にできない社員がいて困っている社長がいた。「またあの不機嫌な顔をみなけりゃならんのか。たまらんな」と内心で思っている。勇気をだして今すぐ注意すべきか、今は黙って我慢し、あとからまとめて指導すべきか。
そんな時には、即座に「経営課題リスト」に書くべきなのだ。書き方はポジティブに、建設的に書こう。「A君の態度を変えさせたい」ではなく、「お互いに気持ち良くあいさつをしあえる会社にしたい」と書くのだ。
営業の田中君の成績不振が目にあまっているのなら、「目標と実績の誤差が全員±10%以内の営業チームを作り上げたい」というように書こう。
悩みや問題は、このように建設的な表現で紙に書き出すことによってイキイキした課題リストに置き換わる。「経営課題リスト」とはかくも簡単なものだ。10分間あれば、誰だって10項目や20項目のリストができる。このリストに書くべき内容は、夢、目標、課題、アイデア、メモ、問題、悩み、不満、不安、・・・つまり、なんでも構わない。頭のなかにあることすべてを箇条書きにしてみよう。
やがてリストの数は100を越える。その時になって初めてテーマごとに分類したり、優先順位をつけるなどして加工してゆけば良いのだ。
特に、短期間で着手すべき課題は「短期課題リスト」として別の紙に書きだそう。あくまで短期課題なので、そんなに欲張ってはいけない。こちらの方はせいぜい10項目以内におさえよう。
短期課題リストにあげた項目に関しては、マニフェストにしてゆかねばならない。マニフェストとは、期限付き数字付きの目標である。ひとつの課題につき一枚の行動計画書を作ろう。
いつまでにどのような状態を作り上げたいのか定義する。そのための具体策を書き出す。この段階では部下も巻きこんで考えよう。こうした行程を日常的に行うことが、目標意識に浸りきるうえで欠かせない大切な習慣なのだ。