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真のビジネスプラン

今から10年後の西暦2013年。私たちが提出する決算書は、こんな中味のものになっていることだろう。

<財務諸表>
 ・損益計算書
 ・貸借対照表
 ・キャッシュフロー報告書

<ブランド・レポート>
・顧客満足報告書
・社員満足報告書
・取引活動報告書(仕入先、協力企業、金融機関などの評価)
・地域活動報告書(市民、住民として企業活動や環境への取組状況)

これらの総合力によって会社の力が評価され、企業間取り引きや、株価にもそれが反映され、消費者もそうした総合力で企業を選別する。

そんな時代がやってくるのだ。

今でも無形資産としてのブランド力は評価されているが、それらがさらに明確な基準となっていくに違いない。経済合理性の追求から生まれた売上高や利益、キャッシュというものは、重要ではあるものの、数ある評価項目の一つになりさがる。

なぜ私はそう思うか。それは、個人を見てみれば明快なのだ。「今の時代、金さえあれば何とかなる」と思っている人がいたとしたら、それは大きな間違いだということを多くの人が気づいている。

『論語』にも「信無くんば立たず」という名言がある。これは、孔子の弟子が政治のことを尋ねたときの話しだ。

孔子は、「政治とは、食料(食)を十分にし、軍備(兵)を十分にして、人民に信頼(信)を持たせることだ」と答えた。

すると弟子は、「どうしてもやむを得ずに捨てなければならないとしたら、この三つのうちどれを先に捨てますか?」と尋ねたという。

そこで孔子はこう答えた。

「先ず、軍備を捨てる。その次に食料だね。食料がなければ人は死ぬが、死はだれにでもあることだ。しかし、信頼感がなくなってしまっては絶対にだめだ。
(いにしえより皆死有り。民・信無くんば立たず)」と。

今の段階では、経営者と為政者を同じに論じるのは無理があるかも知れない。だが、今まで極端に分けて考えてきたことの方が無理があるのだ。
「私はお金を儲けます、あなたは政(まつりごと)をよろしく」という役割分担はあっても良い。だが、極端に機能性を分けすぎてきたようだ。

企業経営者は数字と利益だけに走り、政治家は逆に数字や効率を無視して権力闘争に明け暮れてきた。そのツケが今、日本の国難となって表れているのだ。

・永続的に発展する高収益企業を作ること(科学性)
・立派な人格をもった経営者になること(人間性)
・地域や国家、地球になくてはならない会社になること(社会性)

この三つを調和させ、幸せの螺旋階段を仲間と上る旅が真の経営であり、それらを客観的に評価できる時代がやってくる。もちろんその前に、独自のそうした取り組みを始めていこう。

真のビジネスプランとは、そうしたものを計画したものだ。儲かる会社にすることことだけを目的にしたビジネスプランや経営計画では意味がなくなりつつあることに気づこう。