「中国にはチャンスがいっぱいある」と言われる。
たしかに、間もなく新幹線が整備され、2008年北京五輪や2010年上海万博など国際的なイベントが目白押し。世界広しといえども、少なくとも今後7年間は堅実な成長が見込まれるような国は、他を見回してもほとんどない。一般論でいえば、たしかに中国はチャンスの宝庫だ。
問題は、何をどのように仕掛けるかである。いかなるビジネスにもチャンスがあるが、体力の乏しい中小企業にとって10年後に利益を生むようなのんびりした成功は許されない。何がもっとも効果的・効率的かという、時間との勝負であることを忘れてはならない。
文化や伝統、風習、それに流行が違う。ビジネスの手法でも、日本でうまく行ったやり方をそのまま中国に持ち込んでもうまくいかないことが多いのだ。そこで、二つの表を使ってあなたの会社の中国ビジネスを検討してみよう。
最初の表は、「選択肢マトリックス」だ。
この表は、正方形をタテヨコの線で区切り、四つの四角形をつくる。横軸に「現事業」と「新事業」、縦軸に「円を稼ぐ」「元を稼ぐ」と書く。
1.現事業で円を稼ぐ
2.現事業で元を稼ぐ
3.新事業で円を稼ぐ
4.新事業で元を稼ぐ
となる。この四つのマトリックスの中に中国でのビジネス案を書いていく。あくまで選択肢なので、自由に伸びやかに書こう。
話しを具体的にするため、『有限会社がんばれ社長』を例にして考えてみよう。
この会社の「現事業」とは、セミナー講演、企業顧問、メルマガ広告、出版、ネット通販の五部門ある。
まず「1」の方法、つまり、中国にて「現事業」で円を稼ぐ方法としては、日本の経営者に向けて次のようなことを行う。
・中国セミナー開催
・中国訪問ツアー開催
・中国進出コンサル
・中国向けメルマガ広告
・中国での出版支援
・中国企業向けサイトの構築
など
「2」の方法 現事業で元を稼ぐとは、
・中国人経営者に経営セミナー開催
・ 〃 メルマガ広告募集
・ 〃 企業顧問請け負い
・ 〃 日本進出コンサル
・ 〃 日本向けサイトの構築
など
「3」の新事業で円を稼ぐとは、
・中国で日本人向けに飲食店や小売店を始める
・ 〃 観光事業を始める
・中国で日本人と手を組んで共同事業を始めるなど
「4」の新事業で元を稼ぐとは、
・中国で現地の人を対象に飲食店や小売店を始める
・ 〃 旅行業を始める
・ 〃 出版業を始める
など
この「選択肢マトリックス」は、中味を充実させることが大切だ。充実させるとは、二つの意味がある。一つはあらゆる可能性を検討することである。つまり量だ。そして、あとの一つは質的充実だ。
「飲食店をやる」という抽象的な表現にとどめず、もっと具体的にしよう。
「どこよりも安い回転寿司をやる」とか、「マクドナルドのように清潔で親切なラーメン屋をやる」など、具体的に書こう。
そのために現地での情報収集が必要であり、セミナーに参加したり、他人の体験談を聞くことや、ツアーで現地を訪問するのも、すべてこの表を完成させるためにあると言ってもよい。
では次に、もう一つ大切な表をご紹介しよう。それは、「偉大ゾーンチェックリスト」という。これについては、明日改めて申し述べたい。