※今日も一昨日につづいて、まず「中国レポート現地速報 From 青島」をお届けします。
今私は青島(チンタオ)のシャングリラホテルにいます。現在時刻9/25(木)の午前5時を回ったところ。増えすぎた荷物をスーツケースに格納するのに頭を悩ませています。昨夜の夕食会で全日程を終了し、いよいよ今日は帰国の途につきます。
ハイアール本社見学
今日の午後は青島ジャスコの「浅草ラーメン」を楽しんだあと、ハイアールの本社を訪れました。中国ドリームの具現者・ハイアールの本社を見学するためには、事前申請を青島市役所に提出する必要があります。その資料は、見学希望者のリストや各社の活動分野や特徴、それぞれの会社のURLを明記することが必須条件となっています。
我々一行を出迎えてくれたのは、同社の東アジア担当マネージャー・晏(あん)さんです。会社案内と製品説明を一時間ほど受けたあと、会議室でさらに一時間のミーティングを行いました。いきなり晏さんから、「日本の経営コンサルタントと、当社に対して気づいた点があれば率直に言ってほしい。」と言われ、物見遊山な気分が突然破られ、少々あわてました。
まずはお礼と好印象をもったことを述べたあと、私が、メールマガジンの発行を活動の中心に置いている点や、日本ではメルマガ広告の影響が大きいこと、それに読者の6割以上が経営者であるなどの事実を伝えました。すると、彼はとても興味深そうにし、矢継ぎ早な質問を発しました。
・どんな内容のメールマガジンなのか?
・無料で発行してもペイできているのか?
・配信の方法やどうやっているのか?
などなど。
最後には、クールな晏さんから次のような感想をもらいました。
・中国においてもメルマガやメールマーケティングのマーケットは、とても大きいと思う
・「がんばれ社長!」の中国語翻訳がでたら必ず私も読んでみたい
ハイアールの強み
同社に対する予備知識をほとんど持ち合わせていませんでしたが、同社の強みの一端をかいま見ることができました。それは私が晏さんに「この会社で働いてどう思っていますか?」と発した質問に対する答えの中にありました。晏さんの回答は、「非常にストレスがたまる」というものでした。その理由は、「10%システム」と呼ばれる同社特有の人事システムで、仕事の評価が毎日行われ、トップ10%の待遇が毎日格上げされ、ボトムの10%は毎日格下げされているのです。管理職に至っては、月単位の評価結果が社員食堂の横に大きく掲示されるのです。
その様子をデジカメにおさめてきましたので、近々、画像日記でもご紹介するつもりです。
信賞必罰の権化のようなこのシステムが晏さんにストレスを与えているのですが、我々を送りだすエレベーターの中で、彼はポツリと言いました。
「ストレスが成長の原動力になっているので、それを取り除きたいとは思っていない。」
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『続続・サービスをマネジメントする』
さて二回にわたってお届けしてきたこのシリーズは今日でむすび。前回は、『サービスマネジメント』(ダイヤモンド社)の中から引用を行った。それは、「顧客が求めているのは価値の総体としてのバリュー・パッケージであり、そこには製品も価格もサポートも情報も、そしてその顧客にとって関心がある部分に対応するための活動もすべて含まれているのである」として、次の七つの特性をご紹介した。
1.環境要因
2.感覚要因
3.人間関係要因
4.手続き要因
5.提供物要因
6.情報要因
7.財務要因
それらの補足説明を、私の訪中フライトの体験を交えて1番から3番まで解説した。今日は4番以降について検討してみたい。
4.手続き要因
顧客が企業と取引する上で、顧客に強いる手続きに関する要因。待たされる、記入書類の多さと複雑さ、自分の希望を聞き取ってくれる理解力とキャッ チ力の快・不快。
(中国に本社があるこの会社は、フライトが遅れることが多いが、今回のツアーでは30分程度の遅れなので、私の満足度は普通)
5.提供物要因
顧客が受け取るもの。一時的なものであれ、部分的なものであれ、受け取るすべての物質的なものの快・不快。パンフレットやメニュー、機内食、病院 食や売店の土産など。
(機内食がいただけない。でもたかが一回のランチ。致命的な不快さではない。)
6.情報要因
顧客が顧客として活動するために必要な情報収集にともなう経験の快・不快。
駅や飛行場の案内看板のわかりやすさ、売り場案内やトイレのサイン、ネットで買い物するときの操作性など。
(マイレージカードの申請がこの機内からは出来ないなど、日本の航空会社と比べて見劣りするが、私にとってはそれほど重要な問題ではない。)
7.財務要因
顧客が経験したすべてのことに対して支払う価格に対する快・不快。
(安さという点でこの航空会社の満足度は高い。だが、座席の狭さかくる不快さとどちらをとるかと言えば、私は座席の満足に価値をおく)
このように、顧客である私からみたこの航空会社の価値は「不満足」レベルの評価しか与えられない。だが、航空会社の言い分もある。すべてのお客のすべてのニーズを満たそうなんて思う必要がないのだ。スカンジナビア航空のように「ビジネスマンの航空会社」をめざすのであれば、極端な座席の狭さはネックになるが、この会社は同じものを目指しているのではないはず。従って異なる客層からの悪評はそんなに深刻に受け止める必要はない。大切なのは、主力客層に高いバリューパッケージを提供し、支持されることなのだ。