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パクリと借り物とオリジナル

ある社長から出来たてホヤホヤの「経営計画書」をお送りいただいた。その方は「がんばれ!社長 本気講座」に通って計画を完成させ、つい先日、社内発表されたばかりだという。さっそく中味を拝見してみると、バランスの取れた素晴らしい計画書に仕上がっていた。とても初めての作品とは思えないレベルの高さである。

ご本人の言葉によれば、「半分は他社のパクリですが・・」とある。

パクリという表現は不穏当だが、話を分かりやすくするために今日だけその言葉を使って話をすすめよう。最初の経営計画書はとにかく完成させることと、社内発表することが第一目的だからパクリが多くてもやむを得ない。だが、二度目、三度目に作るときはご自分の思いをご自分の言葉で表現するように心がけよう。

今回の計画書でも、次のくだりなどは他社の経営計画書をそのままパクリしたようで、私もどこかで見覚えがある文章だ。

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「管理職に関する方針」

1.管理職は、大口取引先を担当し、卆先して訪問を行います
2.管理職は、全メンバーに毎日「報・連・相・実行」を行います
3.管理職は、全社のすべての商品に精通していなければなりません
4.管理職は、社員より30分位前に出社をし準備して下さい
5.盲印は絶対押してはいけません。決裁印は全責任の承諾印です
6.部下に対し、1日1回以上、事実に基づいてその場で誉めます
できるだけ数多く事実に基づいて誉めます。これを人材育成の基本とします

<人材育成のポイント>

1.その人の長所を伸ばすように心がけます
2.その人の能力より高い目標と仕事を与えます
3.その仕事の目的、意義を動機付けをします
4.その仕事のやり方、進め方を具体的に教えます
5.その仕事の経過、結果を報告させます
6.仕事の行き詰まりに対して協力、援助します
7.仕事の出来ばえに対してキチンと評価します
8.プライベートな問題に対してフォローします
9.その人を育てようという熱意、愛情を持ちます
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「来年はすべてオリジナルの計画書にしましょう」と感想メールしたところ、当の社長からすぐに返信があり「パクリとオリジナルの違いは何ですか?」とあった。

パクリとオリジナルの違いをどう説明しようか。あなたならどのように回答されるだろうか。

私はこんな回答をした。

「人間がもっている考えやメッセージには三種類のものがあると思います。それは、パクリと借り物とオリジナルです。人の意見や考えをコピー&ペーストしたか、それに近いものが”パクリ”。他人に影響は受けているだろうが、自分で考え、自分の言葉で語ることができるものがオリジナル。その中間の移行期にあるものが借り物。最初からオリジナルを持とうとするのも結構ですが、パクリ→借り物→オリジナルという順にメッセージを進化成長させていくのも素晴らしいことだと思います」

この『がんばれ社長!今日のポイント』にしても、創刊以来 13年間100%オリジナルでやってきたわけではない。特に最初のうちは、何かを参照したり引用してメルマガを書くことが多かった。そんな時には本に頼ったり、インターネットに頼って原稿を書くことが多くなる。出張に出かけるときにはその日数分だけ本を持参していたものだ。

しかし今では手ぶらで長期出張に出ても、毎日原稿を書き上げることができる。当然、今も事実確認や出典確認、脳への刺激目的で本やネットのお世話にはなるが、それがなければ書けないという不安は皆無なのである。

そういう意味では、「パクリ→借り物→オリジナル」というステップは、芸事の成長レベル「守→破→離」に通じるものがあるように思えてくる。