昨年の「経営計画合宿」に参加された U 社長 に 1年ぶりに再開した。合宿の出来事を今でも鮮明に憶えているとおっしゃるので、何が一番印象的だったか尋ねてみた。すると思いもよらぬ答えが返ってきた。
「今でも忘れられないのは朝の 30分読書です。朝 7時に教室に集合して全員が持参した本を黙々と読みましたよね。あの時間が忘れられない。私は亡父が残してくれた蔵書の中から仏教関係の本を持ち込んで読んだのですが、なぜか、あの場面が一番印象的なんですよ」
U 社長にとってそれまでの読書は、気が向いたときに集中してやるものだった。ひとたび読み出すと仕事の手をとめて一冊を数時間かけて読み終えてしまう。それほど根気がある。だが、読書の大半がビジネス書のソフトカバーだし、一月に 1~2 冊程度しか読まない。あの合宿のように宗教書を読むことなどここ数年来では一度もない。しかも朝起きてすぐに本を読んだことも新鮮な経験だった。
「朝に読書をすると、一日中調子がいいんですよ。ただし、心を打つような本でなければ何を読んでも調子は上がりませんがね」と U 社長。今でも朝の読書は続けているという。
森信三氏(哲学者、教育者)は、わが国の学校教師の一番の問題は、読書をしない人が多いことなのではないか、と指摘している。それは教師に限らないはずだ。経営者をはじめとしたビジネスリーダーにも当てはまる指摘だと思う。
森氏の指摘はさらに続く。
「そもそも読書というものは、その分量の多少にかかわらず必ず毎日欠かさぬように読むのでなければ、真の効果は挙がらぬものです。肉体における食事と同じく、心の食物ともいうべき読書も、毎日欠くわけにはゆかぬわけです」
心の食物である読書をしているか否かは顔や表情にすなおに出るもので、毎日読んでいる人には引き締まった小顔効果を与えてくれるのが読書である。
読書が顔をつくる。