1976年に女性起業家・アニータ ロディックが創業した「ザ・ボディショップ」。天然原料をベースとしたオリジナル化粧品を製造、販売する会社で、製品力の高さと企業コンセプトの明快さからファンを拡大。世界 58カ国に 2,300店舗以上を展開する巨大企業に成長した。
アニータ自身、国連で働いていたことがある。その当時、世界を旅し、地球環境や人権問題など社会的なことがらに強く関心をもつようになっていったのだろう。「ザ・ボディショップ」の企業理念にもそれが顕著にあらわれている。
「ザ・ボディショップ企業理念」
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5つのバリュー
Against Animal Testing
(化粧品の動物実験に反対しています)
Support Community Trade
(公正な取引により、地域社会を支えています。)
Activate Self Esteem
(自分らしい生き方を大切にしています)
Defend Human Rights
(ひとりひとりの人権を大切にしています)
Protect Our Planet
(私たちを取り巻く環境の保護に努めています)
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国際的な環境保護団体「グリーンピース」とも同盟をむすび、捕鯨に反対するキャンペーンも展開した。あまりに社会的すぎると FC 加盟店から苦情も出たが、彼女の姿勢は最後まで変わらなかった。2007年に彼女が亡くなる前年にはフランスのロレアルグループに買収されているが、その金額は何と 6億 5200万ポンド(約 1,000億円)にのぼった。
経営理念の5つのバリューは日ごろの営業活動にも色濃く反映されていた。
アニータが現役のころ、広告活動は一切行わなかったという。イギリス中を走るボディショップの製品搬送トラックにまで製品の PR を載せない。その代わりにトラックの側面を利用して、4人の顔写真と 12名の行方不明者のリストを載せ、心当たりがある人は連絡をくれるように呼びかけた。
その結果、3万件の情報が集まり数名が発見された。二年以上行方不明だった少女がマルセイユで発見されたこともある。
企業は社会とつながっている。自社利益につながることだけをしがちだが、時には、目先の利益よりも経営理念に直結する活動を行うほうが意義があると教えてくれた。
実は私自身、この話題を知ったのはまだ最近のことである。それまで一度も「ボディショップ」の店に入ったことがないが、機会
があれば今度お店をのぞいてみたいと思った。そこで、アニータの理念を感じとってみたい。