「あいにく、こちらのクレジットカードは現在ご利用いただけません。他のカードをお持ちですか?」そう言われたことはおありだろうか。カード会社やお店の事情でそうなることもあるが、こちらの事情でそうなる場合が多い。
そんなときに「あれ?おかしいな」とアタフタしていては情けない。むしろ堂々とこう言おう。
「どうやら厄介な相手を敵に回したようだな、女将、今日の勘定は付けておいてくれ!」
1984年 8月に発表された『ゴルゴ 13』の第 217話「ロックフォードの野望」では、カードが使えなくなったゴルゴ 13が登場する。クレジットカードもキャッシュカードも使えない。それだけではない。ゴルゴが所有する証券、債券、信託預金、貴金属、土地、屋敷、5か所の山荘、7か所のマンションのすべてが凍結されていることが判明したのだ。
スイス銀行の責任者にそう告げられたゴルゴ。しかし、みじんも困った表情を見せず、こう聞く。
「本人の意志なくしてそうしたことの行われる場合として、どんなケースが考えられる?」すると銀行マンは、「何よりも信用を重んじる当行としては、本人の意志がなければ 1セントのお金も口座から移動させることはあり得ません」と模範解答を述べる。
ただし「例外があるとすれば当行の理事会か親会社が何らかの事情で強権を発動した場合だ」とも言う。
どうやら今回は、そんな相手を敵に回したようだ。その相手がロックフォードであると分かる。そしてその敵対勢力である華僑のトップからロックフォード暗殺を依頼されるゴルゴ。やるかやられるか、そんな内容だった。
それにしてもゴルゴ 13が経済的に追い込まれる場面は珍しい。銀行を転々と回るゴルゴの姿が見ものだが、銀行が使えない以上は、依頼主に頼んで仕事はすべてキャッシュで支払ってもらうことになる。華僑のトップもアタッシュケースにビッチリ詰まった 100ドル紙幣で支払っていた。
★ゴルゴ 13「ロックフォードの野望」
→ http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=3657
あなたにとって都合の悪い場面を思い浮かべてみよう。
「カードが使えない」ということ以外に、「社長、月末の資金繰りが大変です」とか「社長、来月の仕事がありません」と社員が言うとき、堂々としていられる自分を作るのだ。
たとえば
「本人の意志と関係なくそんなことになるのはどんな事情が考えられる」と社員に質問するのもよいだろう。あるいは、「どうやら厄介な敵を相手にしてしまったようだ。こちらの打ち手をどうするか君たちの意見を聞こう」という具合。
マンガやコミックには人として手本になる態度や言葉づかいがあふれている。もちろん、困った事情を作らないのに越したことはないが。
たまには医者の待合室でマンガを読むのも悪くないものだ。